2023 Fiscal Year Annual Research Report
きのこβ-1,6-グルカンを認識する新規受容体の同定
Project/Area Number |
19K06166
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
金野 尚武 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (60549880)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | きのこ / β-グルカン |
Outline of Annual Research Achievements |
β-1,6-グルカン(プスツラン)とβ-1,3-グルカン(ラミナリン)をそれぞれRAW264.7細胞試験に供し、RNAシークエンスを行うことで発現する遺伝子群を比較した。プスツラン処理により、ラミナリン処理したときよりもTNF-α発現量が高く、IL-6といったサイトカインの発現が上昇していた。GO解析からも免疫応答関連の遺伝子発現が高いことが明らかになった。一方、プスツランとラミナリン処理による発現量に大きな差があった遺伝子は7種程度に限られ、その中から特徴的な発現を示す受容体候補遺伝子は特定できなかった。多糖での評価が難しいことから、β-1,6-グルカン多糖を酵素分解することでさらに強い免疫賦活機能を示すβ-1,6-グルカンオリゴ糖を得た。様々な重合度のβ-1,6-グルカンオリゴ糖を酵素処理により調製し、サイズ排除クロマトグラフィーにより分子量ごとに分離した。これら糖サンプルにおける免疫賦活機能を評価したところ、TNF-α、IL-6、iNOSのいずれの遺伝子の発現量も、β-1,6-グルカナーゼによる酵素分解と、SECによる分取の両方を行うことで、より高発現することが明らかになった。また、アルカリ処理の有無や水溶性によってもこれらサイトカインの発現が変動することがわかった。これは脱アセチル化により水素結合が強化し、溶解性が低下した影響であると考えられた。以上のことより、β-1,6-グルカンオリゴ糖の免疫賦活機能には、5糖以上かつ高純度であること、さらに水溶性が高いことが重要であると示唆された。
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