2019 Fiscal Year Research-status Report
ノリの倍数性育種に向けた基盤構築:異質倍数化したハイブリッドの探索と特性把握
Project/Area Number |
19K06184
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
二羽 恭介 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (70463429)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 養殖ノリ / スサビノリ / アサクサノリ / 隠蔽種 / 異質倍数体 / 倍数性育種 / 種分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では房総半島を中心に自生地で生育するノリ栽培種や近縁野生種などの分布状況を把握するとともに、種間交雑による異質倍数化したハイブリッドの探索を行い、育種素材の収集に取り組む。また、収集したハイブリッドから異質倍数化した系統保存株を確立し特性把握を行うことを目的としている.令和元年度は,千葉県の4箇所,神奈川県の2箇所のほか,宮城県と福島県などで野生ノリの葉状体を採集した。葉緑体DNAのrbc-spacer領域を用いて種判別を行った結果,房総半島から東北地方にかけて,アサクサノリ,スサビノリ,スサビノリの隠蔽種,ウタスツノリ,マルバアマノリのほか,未同定種も生育していることが明らかになった。このうち,房総半島の自生地でアサクサノリとスサビノリ,スサビノリと隠蔽種がそれぞれ同所的に生育していることも明らかになった。各地点で採集した葉状体から接合胞子を放出させて室内培養することにより,遺伝資源として系統保存できる糸状体株の分離を行った。また,房総半島から東北地方に由来する野生ノリの系統保存株(糸状体)を用いて,核と葉緑体のDNAマーカー解析を行った結果,スサビノリとアサクサノリのハイブリッド糸状体が見つかった。さらに,分子同定によって倍数性育種素材として有望なウタスツノリの緑色型変異体も見出すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
房総半島などで複数の種が同所的に生育している野生ノリの自生地が見つかったことと,スサビノリとアサクサノリのハイブリッド糸状体が見つかったため。また,倍数性育種素材として有望なウタスツノリの緑色型変異体を発見し,原著論文として公表することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,核DNAマーカーを用いて葉緑体DNAで種判別した葉状体と糸状体の中で種間交雑によるハイブリッドが存在するか調べる。見つかったスサビノリとアサクサノリのハイブリッド糸状体は,殻胞子を放出させ葉状体に育て,さらに原胞子を放出させ原胞子由来の葉状体を核DNAマーカー解析することにより,異質倍数化したハイブリッドであるか検証する。
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Causes of Carryover |
若干使用額が残ったため、次年度の予算と合わせて使用する。
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Research Products
(6 results)