2020 Fiscal Year Research-status Report
Ecological effects of nighttime artificial lighting on decapod crustaceans
Project/Area Number |
19K06192
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
土井 航 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 准教授 (70456325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大富 潤 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (10253915)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | オカガニ / 地表活動 / 幼生放出 / 降海移動 / 光害 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、沖縄県西表島網取において、夜間人工照明の影響によりミナミオカガニの行動日周性に変化が生じるかどうかを明らかにするため、同種の巣穴が密集する海岸林内に夜間に点灯するLED照明を設置した実験区と対照区を設け、地表活動の個体数を10分ごとに計数する実験を行った。また、オカガニ類の幼生放出期である大潮前後の時期の夜間に、砂浜に人工照明を設置して、本来満潮時に同調する放出時刻に変化が生じるか実験を行った。 主に夜行性と考えられていたミナミオカガニであったが、日中にも盛んに地表活動が行われることが、実験区・対照区に設置したカメラの画像により明らかになった。地表活動は、極端な降雨、周辺へのリュウキュウイノシシ、オサハシブトガラスの出現により中断された。設置した照明による影響は現在、解析中である。4ヶ月間の比較的長期間にわたって、地表活動をモニタリングできたことは、ほかに類のない研究であり、重要な知見が得られたと考えられる。しかしながら、夜間照明の幼生放出時刻への影響については、実験を10月に2晩のみしか行えず、その実験期間内に幼生放出自体がまったくみられなかったことにより、データがまったく得られなかった。 当初は、オカガニ類の行動が活発になる春から実験を開始する予定であったが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大下の来県自粛要請と所属機関による出張禁止により、実験を開始できたのが7月以降となり、幼生放出についての実験回数も限られてしまった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、出張をともなう現地での実験が大きく制限された。人工光による巣穴周辺の地表活動については、2020年度に4ヶ月間に及ぶ実験で得られたデータの解析中であり、必要なデータはほぼ得られたと考えられる。一方で、人工光が幼生放出行動に与える影響に関する野外実験については、必要なデータが得られなかった。そのため、遅れていると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
県をまたいでの移動は、今後も制限される可能性があることから、人工光が幼生放出行動に与える影響に関する実験を新たに行うのは難しいと考えられる。そのため、先行研究(山崎 2017)により、夜間照明設置によりオカガニ類の幼生放出時刻に変化が生じたとされている沖縄県瀬長島において、夜間の照度環境を調査する。そして、オカガニ類の分光視感度を明らかにすることで、人工光によるカニ類への影響を視覚的に明らかにする。また、山崎(2017)が明らかにした照明設置後の幼生放出時刻のデータを利用して、西表島網取でこれまでに観察された幼生放出時刻を操作して、照明設置の影響下での幼生分散シミュレーションを行う。ただし、西表島で予定されていた実験は可能な限り継続して行い、データのさらなる充実・不足データの充足を図る。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により、また、予定していた現地調査の回数が減り、期間が短縮されたため。2021年度は調査のための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)