2021 Fiscal Year Research-status Report
大型サケ科魚類によるサケ稚魚放流地点への蝟集パターン
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19K06197
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Research Institution | Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
本多 健太郎 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(札幌), 主任研究員 (00720707)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 功 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産資源研究所(札幌), 主任研究員 (00603325)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | サケ稚魚 / 被食 / テレメトリー / ふ化放流 / ブラウントラウト |
Outline of Annual Research Achievements |
北海道石狩川水系千歳川において、大型サケ科魚類がサケ稚魚放流期に放流地点付近に広域から蝟集するかどうかを調べるため、 2019年・2020年の秋に超音波発信器を装着・放流した計35尾の大型サケ科魚類(主にブラウントラウト)の行動追跡を継続した。2022年3月時点で内28尾が一回以上受信されたが、いずれも翌春、翌々春のサケ稚魚放流期に放流地点付近には一度も現れなかった。一方、2シーズンに亘る潜水目視調査の結果からも、サケ稚魚放流期における放流地点付近でのブラウントラウト個体数の増加は認められず、その他の時期でも大きな増減は見られなかった。以上より、当初の仮説とは反するが、ブラウントラウトがサケ稚魚放流地点に広域から蝟集しないことが明らかになった。サケ稚魚放流期に放流地点から約10km下流域で捕獲したブラウントラウトの多くが捕獲前日に放流したサケ稚魚を大量(>100尾)に捕食していたことが、胃内から抽出したサケ稚魚の耳石標識を確認した結果から明らかになった。このことから、放流地点付近まで遡上しなくても十分な餌にありつけることが蝟集しない理由と考えられた。なお、テレメトリー調査および潜水目視調査は2022年のサケ稚魚放流期後まで継続する予定である。また、2020年6月以降大型サケ科魚類の季節移動を捉えるべく行動追跡範囲を拡大しているが、2022年3月までに千歳川水系から石狩川本流には進出したのは2個体のみである。一方で特定の場所に数ヵ月単位で滞在し続ける個体が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の仮説とは反するが、ブラウントラウトを主とした大型サケ科魚類がサケ稚魚放流地点付近に蝟集しないという新たな知見が得られた。そして、その理由として下流にいても十分な餌にありつけることが考えられ、それを示すデータが得られた。以上に研究成果の公表状況も踏まえ、「おおむね順調」と評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年に超音波発信器を装着・放流したブラウントラウトの行動追跡および定期的な潜水目視調査を継続する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響により、学会等への旅費が発生しなかったため。次年度の研究成果の公表等に充てる。
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