2022 Fiscal Year Annual Research Report
Isoscape mapping of particulate organic carbon and nitrogen in the Japan Sea
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19K06198
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
児玉 武稔 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (20735899)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井桁 庸介 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(新潟), 主幹研究員 (50444138)
木暮 陽一 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水研機構(新潟), 主幹研究員 (90371905)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 日本海 / 黒潮 / 懸濁態有機物 / 安定同位体比 / 窒素循環 / 炭素循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本海南部の表層200 m以浅の懸濁態有機物を濾過捕集し、それらの炭素・窒素安定同位体比について分析を進めた。また、同時に、同海域の動物プランクトンの安定同位体比、黒潮域における懸濁態有機物の安定同位体比についても分析・解析を進め、日本海の食物網構造について同位体比の観点から迫るとともに、日本海と黒潮域の安定同位体比から認められる生物生産過程の違いを明らかにした。黒潮域については、下層からの硝酸塩供給依存の生産と窒素固定依存の生産が寄与している様子が認められた。過去の黒潮域における研究では、特に夏季に窒素固定が活発であることが知られているが、既往知見を裏付けるように夏季の外洋域では窒素安定同位体比が低下し、窒素固定による寄与が高いことが分かった。一方で、外洋域でも秋から春にかけて、沿岸域では1年を通じて、下層の硝酸塩を起源とする生産が卓越するような窒素安定同位体比をとったため、窒素固定の寄与は季節・場所で限定的であることが分かった。一方で、日本海の懸濁態有機物の安定同位体比、特に窒素同位体比については、先に解析を進めた黒潮域とは異なり、周辺の硝酸塩濃度といった環境要因にあまり依存せず、その値が大きく変動することが明らかになった。その要因については、日本海の窒素源が、下層からの供給だけでなく、長江希釈水を始めとする河川水や黒潮域からの移流があるためと想定される。また、動物プランクトンを利用した過去試料の分析からは日本海の炭素安定同位体比は徐々に低下している様子が認められ、大気中の二酸化炭素濃度の増加を反映し、炭素循環が少しづつ変化している可能性が示された。以上の成果は、査読付き論文として2本出版済みであり、また、日本海の懸濁態有機物については、現在、投稿審査中である。
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Research Products
(8 results)