2022 Fiscal Year Annual Research Report
顕微鏡技術の組み合わせによる魚類の青色素胞を構成する青色色素成分の同定への試み
Project/Area Number |
19K06228
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
武井 史郎 中部大学, 応用生物学部, 講師 (60398576)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 魚類 / 青色素胞 / 質量顕微鏡 / 電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、いまだ未知である魚類における青色素胞を構成する色素物質の同定である。青色素胞はネズッポ科魚類の2種においてのみ報告されている、ごく限られた魚類においてのみ見られる色素胞であるが、その色素を構成する物質は未知である。その理由として、これらの魚が小型であるために青色色素物質を十分に抽出、精製できない為であると思われる。多くの魚類が虹色素胞による構造色で青色を表現している中、なぜネズッポ科魚類の2種だけが青色素胞を用いるのか、この点が不明である。もし青色色素の物質が解明できれば、この学術的問いへの回答に大きな前進が期待できる。 本年度はこれまで行ってきた結果の比較解析を中心に行った。これまでニシキテグリおよび複数のベラ科魚類が青色組織内で同じ分子を検出してきたが、本年はさらに電子顕微鏡による形態確認において、同じような青色色素を持った細胞の形態であることを確認した。また組織内ではともに皮膚の真皮細胞の一部として構成されており、これらの異なる系統であったとしても、近似した組織の発生を経て青色組織を構成していることを推察した。本年はさらに、これらの結果を集約し、論文執筆に向けたデータの集約のほか、各魚種における青色色素の機能的意義について、特に魚類の分類や他の色素胞との兼ね合いの含めた考察をまとめた。また、本法による質量顕微鏡と他の顕微鏡技術とを組み合わせた研究手法における青色色素同定の技術的有用性についても論じ、本研究のさらなる可能性についても意義づけすることができた。
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