2021 Fiscal Year Research-status Report
The defensive properties of beta-trefoil fold lectins in bivalve Mytilidae.
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19K06239
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
大関 泰裕 横浜市立大学, 理学部, 教授 (70275022)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 佑樹 長崎国際大学, 薬学部, 講師 (80610063)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | レクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
ムラサキイガイの外套膜、エラ、消化管のRNA-seqを行い、R-型レクチンファミリーに属すセヴィル様 mRNAが同貝における転写の程度を調査した。2021年5月および2022年2月に採取したムラサキイガイの配列解析を行った。外套膜とエラにα-Gal結合性β-トレフォイル骨格レクチンでミティレクチンファミリーに属すマイティレックが存在するムラサキイガイには、R-型レクチンファミリーであるセヴィルのmRNAが2種類転写されていた。これらは共に131アミノ酸からなるR-型レクチンサブユニットのみから構成されていた。一方、ムラサキインコガイはセヴィルのmRNAのみが転写され、二種のムール貝の間でβ-トレフォイル骨格レクチンにおける遺伝子発現の本質的な違いがあった。さらにムラサキイガイにはマイティレックの配列に加え細菌毒様の配列が連結したマイティレック-2/3が存在したが、これらもムラサキインコガイには存在せず、本質的な違いとして特徴づけられた。ムラサキイガイから得たセヴィル様配列を、ムラサキインコガイのセヴィルと比較し、両者のアミノ酸配列は74%の高い類似性を有した。時期による転写の発現に有意な変動は見られず、セヴィル様R-型レクチンはムラサキインコガイ、マイティレック様ミティレクチンファミリーはムラサキイガイにおける転写が主であった。これらから、イガイ科にはそれぞれ異なる一次構造であるR-型レクチンファミリーおよびミティレクチンファミリーに属し、共にβ-レフォイル骨格へ収れんしたレクチンが存在し、ムラサキイガイでは両者の共存が示された。各糖鎖結合性の違いから、両レクチンの糖鎖を介す異なる役割りが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イガイ科の細胞培養が予定通りにおこなえず、哺乳動物細胞に対してイガイ科レクチンが引き起こした細胞内情報伝達をイガイ科細胞と比較する結果の入手が不成功であった。海外の共同研究者の持つ細胞を用いた現地での実験が、渡航不可により行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
イガイ科細胞の培養が充分に確立できなかったことから、イガイ科レクチンによる生体防御の仕組みを明らかにする課題に対し、レクチンを産生するイガイ科細胞から、微生物に対する増殖抑制効果、特にプロテアーゼなどの防御タンパクに対する効果の解析に主眼を移して、役割の解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
新興感染症の世界流行のため、海外共同研究の遅延および渡航ができず、実施課題が持ち越された。次年度は持ち越し分の研究課題を完了し、研究費の全額の使用を完了する。
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Research Products
(12 results)