2021 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K06240
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
神保 充 北里大学, 海洋生命科学部, 教授 (10291650)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サンゴ / レクチン / 貪食 / 誘引 / 褐虫藻 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、サンゴのレクチンActL, AtTL-2, intelectin様タンパク質の機能について明らかにした.RNAi により、ActL を発現抑制すると、稚ポリプによる褐虫藻の獲得が阻害された。またActLには,多様な対立遺伝子があり,異なる対立遺伝子を持つ稚ポリプは,異なる褐虫藻を獲得した。また,AtTL-2 の発現抑制は褐虫藻獲得を阻害すること,AtTL-2 結合ビーズが稚ポリプによく貪食されることから、AtTL-2 は褐虫藻の獲得を促進すると推定される。さらに,稚ポリプ内の褐虫藻が増殖しにくい時に発現するレクチン Intelectin 様タンパク質は,発現抑制により褐虫藻の増殖が促進された。この結果から、intelectin 様タンパク質は、褐虫藻の増殖を抑制していると推定される。 今まで、サンゴと褐虫藻の共生にレクチンが関与していると推定されてきたが,その機能は十分に証明されていなかった。本研究により,ActLは,対立遺伝子が多数見いだされた。ActLは,褐虫藻を選択的に誘引することが明らかにされており,異なるActL対立遺伝子を発現する稚ポリプは,異なる褐虫藻株を獲得したことから,ActLが褐虫藻の選択的獲得に関与すると推定される。これは,サンゴは共生する褐虫藻を変化させて,生息する環境に適応する方法なのかもしれない.また,別のレクチンAtTL-2 は獲得を促進したり,intelectin様タンパク質は,共生に適さない褐虫藻の増殖を抑制している傾向がみられた。一般に,レクチンは異物認識,貪食促進など様々な機能を通して生体防御が行われていると考えられているが、褐虫藻とサンゴの共生においては、類似の機能が共生成立に関与していると推定される。
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Research Products
(2 results)