2019 Fiscal Year Research-status Report
Food system of grapes and its development in semi aride area of Tanzania
Project/Area Number |
19K06248
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
一條 洋子 東京農工大学, 学内共同利用施設等, 特任准教授 (10726699)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 農村経済 / アフリカ / フードシステム / ブドウ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、タンザニアの貧困州におけるブドウの生産・加工・流通・消費のフードシステムの実態解明とその振興策について考察するものである。タンザニアでは商業的農業の推進を政策目標のひとつに掲げているが、とくに農産物の加工・流通・消費局面の全体像の把握や、それらの状況が生産地へもたらす影響等についての詳細な研究はなされていない。本研究では、対象地域において重要商品作物であるブドウのフードシステムに注目し、フードシステム論とネットワーク論を援用しながら分析・考察することにより、同地域の農業振興策、農村経済発展に対して学術的知見を提供することを目指している。 2019年度は、ブドウをめぐる経済一般、および主たる分析枠組みとするフードシステム論とネットワーク論の先行研究や分析手法の理解を進めた。また、8月に、タンザニア、ドドマ州にて約1週間の現地調査を実施した。調査では、ブドウ産地の2ケ村を訪れ、農家や圃場を訪問し、生産環境、近年の生産者数動向、技術指導、流通等の各状況と、彼らが認識している課題に関する現状を聞き取り、主調査のための情報を収集した。さらに、ブドウの仲介商人と小売商人に詳細な経済活動を聞き取り、ブドウの川上から川下に至るまでの全体像を把握した。とくに、商人と農家との関係性や、商人間の互助的関係性のバリエーションのいくつかを把握できた。また、主調査に向けたネットワーク構築に努め、農業普及所や加工業者、加工品小売業者などを訪問し、次回調査のアレンジを行うことができた。 これらの調査をもとにした主調査を2・3月に実施予定であったところ、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、断念することになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度は、ブドウのフードシステムの全体像の把握を進めるために、先行研究の理解を進めることと、予備調査としての現地調査は実施できた。現地調査では、ブドウ産地の2ケ村を訪れ、農家や圃場を訪問し、生産環境、近年の生産者数動向、技術指導、流通等の各状況と、彼らが認識している課題に関する現状を聞き取ることができた。さらに、ブドウの仲介商人と小売商人に詳細な経済活動を聞き取り、ブドウの川上から川下に至るまでの全体像の把握に努めた。とくに商人と農家との関係性や、商人間の互助的関係性のバリエーションの事例を調査できたことは、今後の主調査や研究計画を立てるうえで重要な知見となった。また、主調査に向けたネットワーク構築に努め、農業普及所や加工業者、加工品小売業者などを訪問し、次回調査のアレンジを行うことができた。 一方、それらをもとに1回目の主調査を2020年2・3月に実施予定であったところ、新型コロナウイルス感染拡大が生じたことから、現地への渡航を断念せざるを得なかった。全体として報告に至るほどの成果を纏められなかったため、今後の計画を見直す。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、現地調査と日本国内でのデータ分析や文献調査によって構成されている。よって、今後の新型コロナウイルス感染拡大状況に応じて、下記のとおり計画する。 (1)入手可能なデータや文献にもとづき、現時点で可能な成果を英文にて纏め、学会または論文等で公表する。 (2)成果にもとづき、事態が改善されれば、2019年度に実施できなかった主調査を実施する。あるいは、現地の協力者と調整し、可能な範囲で追加的調査の実施を依頼し、フードシステム全体よりも、フォーカス可能なフェーズにおける研究を深める。
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Causes of Carryover |
2020年2・3月に予定していた主調査を、新型コロナウイルス感染拡大の影響により断念せざるを得なかったため、そのために計上していた旅費が支出できなかった。さらに、ノートPCを新規に調達する予定であったが、所属組織のものを借用できたため、まずはこれを使用した。
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