2023 Fiscal Year Annual Research Report
Food system of grapes and its development in semi aride area of Tanzania
Project/Area Number |
19K06248
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
一條 洋子 京都大学, 農学研究科, 研究員 (10726699)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 農村経済 / アフリカ / フードシステム / ネットワーク / ブドウ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、経済的課題を抱えるタンザニアのドドマ州を対象に、重要商品作物であるブドウの生産・加工・流通・消費のフードシステムの実態解明とその振興策について考察するものである。タンザニアでは商業的農業の推進を政策目標のひとつに掲げているが、とくに農産物の加工・流通・消費局面の全体像や、それらが生産地へもたらす影響等について実態調査にもとづく研究は少ない。本研究では、フードシステム論とネットワーク論を援用しながらブドウのフードシステムを分析・考察することで、同地域の農業振興策、農村経済発展に対する学術的知見の提供を目指すものである。 2023年度は、現地での本調査に臨み、45軒のブドウ生産農家、40名の小規模小売商、9名の他経済都市の小売商への聴き取り調査を実施した。結果として、ブドウの広域なバリューチェーンを把握し、ブドウ農家の8割が同一郡内の買付商へ販売していることや、買付商との長期的取引関係は一定程度あるものの、供給過剰のなか信用販売が常態化し、そのリスクは農家が負っていることを明らかにした。一方、小売商・買付商にはバリエーションがみられるが農家との関係的契約や契約栽培などの長期的関係を維持するネットワークは殆ど構築されておらず、同じく供給過剰に起因するものと考察された。以上の成果について地域農林経済学会大会で発表し、2024年度以降も詳細について学会・学術誌にて発表していく予定である。 本研究全体を通して、商業的農業振興の一端を担うブドウのバリューチェーンを把握するとともに、市場、加工産業、安定的販売先の欠如とそれに起因する販売リスク負担に直面する農家の実態が明らかにできた。このような農家行動にもとづきブドウが他都市・他国へ流通しているものの、以前として供給過剰の状況にあり、農家のリスク軽減に寄与する市場整備・加工業振興策が必要であると結論するに至った。
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