• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2023 Fiscal Year Research-status Report

共有林の解消と再自然化に関する研究

Research Project

Project/Area Number 19K06257
Research InstitutionMeiji University

Principal Investigator

片野 洋平  明治大学, 農学部, 専任准教授 (00407347)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2025-03-31
Keywords環境政策 / 林業政策 / 法社会学 / 社会学
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、特に共有林に焦点を当て、共有林の解消に必要な合意形成と、その後の山林の適切な管理方法を探求している。過去に多くの用途で利用されてきた共有林は、現在、主にスギ・ヒノキの人工林として利用されているが、法的及び実質的な管理が崩壊しつつある。多くは適切な管理が行われていない状態で、自然災害のリスクも高まっている。
合意形成の必要性は、地域社会から離れた所有者が多いことや、新規参入者が実質的な管理者と連絡が取れないなどの課題から生じている。また、共有林が長期間間伐されずに放置されている実態もある。そこで、本研究は共有林の解消に向けた合意形成の方法と、山林の適切な管理方法を明らかにすることを目指す。
具体的には、林業政策の枠組み内で、人工林を自然に近い形(複層林)に再生させることを考えていた。これには、生物多様性や自然保護の観点からの重要性も含まれており、森林の多面的機能を高めるための方策として提案されている。しかし、このプロセスは技術的にも課題が大きく、継続的な努力が必要とされている。
研究の独自性と創造性は、共有林の問題を新たな視点から捉え、林業政策に環境学の視点を組み入れることにある。また、実際の政策運用においても、これまでの研究成果を基に寄付採納政策を地方自治体で試みており、その過程で新たな知見を得ている点も特筆される。全体として、本研究は放置されがちな共有資産の合理的な管理と活用の道を開くための、学問的及び実践的な試みとして位置づける。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

世界的なパンデミックの影響で、研究進行に大きな遅れが生じている。まず、仕事の進め方が大きく変わった。リモートワークが普及し、オンラインでのコミュニケーションが必須となったことで、研究支援者との直接的な意見交換が難しくなり、研究のスピードが落ちている。さらに、自治体側の体制も大幅に変化した。パンデミック対応のためのリソース再配分により、研究プロジェクトに割り当てられる支援が減少し、計画していた研究活動の一部を縮小または延期せざるを得なくなっている。加えて、私生活においてもライフワークバランスが大きく変化している。家族との時間を確保しつつ、仕事とのバランスを取ることが一層困難になり、研究に割くことができる時間が以前よりも限られるようになっている。これら3つの要因により、研究の進行が遅れている現状は、多くの研究者が直面している課題であり、今後の研究活動の進め方に新たなアプローチが求められている。

Strategy for Future Research Activity

研究成果が遅れている状況ではあるものの、いくつかの成果を上げている点について記述する。まず、共有林の解消に関する考察をまとめた書籍を、2024年初旬までにミネルヴァ書房から刊行する予定である。この書籍では、共有林が持つ社会的・環境的な意義と、解消に向けた具体的なアプローチを、過去の事例研究や現地調査のデータを基に詳細に論じている。書籍の出版は、共有林に関する認識を広め、より良い管理策の提案に繋がることを期待している。
次に、立命館大学の高村教授と共に、共有林解消に関する書籍の分担執筆を行っている。高村教授とはこれまでにも複数の研究プロジェクトで協力しており、共有林に関する幅広い知識と経験を持ち合わせている。この書籍では、私たちの専門知識を生かして、具体的な解消策や地域における実践例について詳細に記述している。また、これまでの研究成果を研究会で報告することで、学問的なフィードバックを得て、内容の充実を図っている。
さらに、高村教授と共に行ったアンケート調査の分析も進めている。この調査は、共有林の現状に対する地域住民の意識や、解消に向けた地域の取り組みについての実態を把握するために設計されたもので、その結果は今後の研究方針に大きな影響を与える。アンケートの結果を基に、地域が直面している問題と解決策についての深い洞察を提供することを目指している。
今後は、これまでに得られた行政データおよびアンケート調査結果をさらに詳細に考察し、複数の論文を執筆する予定である。これらの論文では、共有林の解消が地域社会に与える影響や、持続可能な森林管理への移行を促進する政策提言など、実践的な知見を共有することを目的としている。これにより、学術界だけでなく、政策立案者や地域コミュニティにも役立つ情報を提供できることを期待している。

Causes of Carryover

パンデミックにより研究進行に遅れが生じている。リモートワークの普及により、研究支援者との直接的な意見交換が難しくなり、研究のスピードが落ちている。さらに、自治体のリソース再配分により研究プロジェクトへの支援が減少し、計画された研究活動の縮小や延期が必要となった。プライベートでは、ライフワークバランスの変化により、研究に割ける時間が限られ、これが研究遅延の一因となっている。この状況は多くの研究者に共通の課題であり、新たなアプローチが求められている。2024年5月にミネルヴァ書房から刊行予定の書籍では、共有林の社会的・環境的意義と解消に向けたアプローチを、事例研究と現地調査をもとに詳細に論じる。立命館大学の高村教授と共に執筆を進めており、専門知識を活かし具体的な解消策や地域実践例について記述。また、共有林の現状に対する地域住民の意識や取り組みを把握するためのアンケート調査も行い、その結果は今後の研究方針に影響を与える。さらに、得られたデータを基に複数の論文を執筆し、共有林の解消が地域社会に与える影響や持続可能な森林管理への政策提言を行う予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2024 2023

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Invited: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] 放置資産の所有者はなどのようなことを考えているのか?2024

    • Author(s)
      片野洋平
    • Journal Title

      月間司法書士

      Volume: 625 Pages: 26-30

  • [Journal Article] Japan's new ruralities: Coping with decline in the periphery Edited by Wolfram Manzenreiter, Ralph L?tzeler and Sebastian Polak‐Rottmann, New York: Routledge, 2020, p. 332, £36.99 (paperback), ISBN: 9780367354183 (paperback)2023

    • Author(s)
      Katano Yohei
    • Journal Title

      Japanese Journal of Sociology

      Volume: 32 Pages: 99-102

    • DOI

      10.1111/ijjs.12145

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] What makes communication difficult between people from urban and rural areas?: Focusing on social norms among regions in Japan2023

    • Author(s)
      Yohei Katano
    • Organizer
      East Asian Sociological Association (EASA), Jilin, China
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] How do we create market-based norms? : Focusing on wealthy Japanese farmers2023

    • Author(s)
      Yohei Katano
    • Organizer
      ,Asian Law and Society Association, Sunway, Malaysia
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 二つの社会規範のなかで二つの顔を使い分ける人々2023

    • Author(s)
      片野洋平
    • Organizer
      法社会学会関東支部招待講演
    • Invited
  • [Book] 入会林野と所有者不明土地問題 : 両者の峻別と現代の入会権論2023

    • Author(s)
      高村 学人、古積 健三郎、山下 詠子
    • Total Pages
      398
    • Publisher
      岩波書店
    • ISBN
      978-4000616140

URL: 

Published: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi