短期的および長期的な食の幸福度の決定要因とその公共政策的含意に関する研究

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 19K06259
• Research Institution: Miyagi University
• Principal Investigator: 川村 保 宮城大学, 食産業学群(部), 教授 (20177736)
• Project Period (FY): 2019-04-01 – 2022-03-31
• Keywords: 食の幸福度 / 時間選好率 / ソーダ税

Outline of Annual Research Achievements

本研究は、幸福度研究や行動経済学の研究成果を食に関する研究に応用することで、食が我々に与える幸福度について、多面的に明らかにすることをねらいとしている。研究は、①即時的（短期的）幸福度と経時的（長期的）幸福度の計測、②食の幸福度への食の知識の蓄積の影響、③特定の食品への課税が食料消費を誘導する効果と公共政策の関係、の大きく３つの部分に分けて計画している。2019年度は主に①の部分の幸福度の計測に関する調査を中心に実施することを計画していた。
幸福度の計測は、調査対象者の主観的な評価をできるだけ客観性を保ちつつ、数値化することが求められるために、通常のアンケート調査よりも一層慎重なアンケート調査票の設計が必要となる。2019年度はそのアンケート調査票の準備を行った。このアンケート調査票は、調査対象者の食に関する基本的な嗜好や食に対する知識や経験の程度などの食に直接的に関係する質問項目、時間を通じての選択行動に係わる時間選好率などの質問項目、またそもそも長生きを志向しているのかという人生観についての質問項目などを含むものである。情報がより正確に得られるように質問形式や質問の順序等にも配慮し構成した。
また、研究に必要なサンプル数を、適切なばらつきを持った集団について確保するため、インターネット調査の利用を前提として、アンケート調査票の作成を行った。しかしながら、その調査を実施するところまでは至らなかった。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

研究は大幅に遅れている。主な理由は、所属機関での業務多忙により研究計画に遅延が生じたこと、アンケート調査票の設計に予想以上に手間取ったことである。1人のみの研究組織であり分業などによる効率化は難しいが、研究以外も含めて業務の効率化に取り組み、情報機器の活用などにより、研究時間の確保に努める。

Strategy for Future Research Activity

当初の計画では、2019年度と2020年度に食の幸福度についてのインターネット調査を行う予定であった。2019年度に実施予定であったができなかった分のインターネット調査については、2020年度の夏までに実施する予定である。それを踏まえて、2020年度の後半に、当初から予定していた分の調査も行う。
情報収集や聞き取り調査の実施については、新型コロナウィルス感染症の蔓延という事態も考慮し、調査先や調査方法を再検討の上、実施する。
ＰＯＳデータを用いた計量経済分析は、2020年度中に開始するが、分析は2021年度にも継続することになる見通しで、最終年度までには所期の研究内容を完了したいと考えている。

Causes of Carryover

2019年度は、アンケート調査票の作成を行ったが、実際のインターネット調査の形でアンケート調査を実施するところまでは至らなかった。その理由は所属機関での業務多忙により研究計画に遅延が生じたことと、調査票作成に手間取ったことであり、そのために支出を伴う研究活動が出来なかった。
2020年度は2019年度に実施できなかった分と、本来2020年度に実施する予定であった分の両方のインターネット調査を実施する予定である。また、ＰＯＳデータを用いた計量経済分析も年度の後半には開始する予定である。情報収集や聞き取り調査等については、新型コロナウイルス感染症の状況を見ながらということになるが、実施する予定である。