2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on making system to retain agriculture workforce in Hokkaido, paying attention to new labor sources
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19K06268
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東山 寛 北海道大学, 農学研究院, 教授 (60279502)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 北海道農業 / 労働力確保 / 特的技能外国人 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の課題は、農業分野の労働力確保に結びつく新たな給源の存在に着目しつつ、北海道農業における総合的な労働力確保体制の構築に関わる新たな知見と示唆を得ることである。本年度は、北海道内における特定技能外国人の受け入れに関する実態調査を重点的に行った。特定技能は2019年度にスタートした新たな在留資格であり、この制度で受け入れた外国人材を「特定技能外国人」と呼んでいる。農業分野の在留資格は「特定技能1号」であり、日本で就業できるのは通算5年である。また、就業の季節性を有する農業と漁業分野に限って派遣形態の雇用が認められている。事例は、北海道釧路管内の酪農専業地帯である浜中町の酪農ヘルパー組織であり、2021年7月から特定技能1号のベトナム人女性(20代)を受け入れている。この人材は酪農ヘルパー組織の直接雇用ではなく、人材派遣企業からの派遣形態をとっている。ただし、短期間の就業を想定しているわけではなく、当初から最大2年間程度の雇用を予定している。分析では、日本人ヘルパーと外国人ヘルパーの賃金差に注目した。外国人材の人件費コストは日本人ヘルパーのそれを相対的に上回るが、両者の間に大きな開きがないことが受け入れを進めるための条件でもある。実態としては、外国人材の人件費コストが日本人ヘルパーのそれを上回るもののそれほどの差はない、という関係が確認された。その背景として、事例ヘルパー組織は慢性的な人手不足状態に対応するため、給与の引き上げを進めてきた経過がある。したがって、酪農ヘルパーの待遇改善の延長上に外国人材の受け入れが位置づく関係にあると考えられた。さらに、外国人材の受け入れは酪農ヘルパー組織の経営にとってもマイナス要因にはならないことを併せて確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、農業分野の労働力確保に結びつく新たな給源の存在に注目している。これまでの調査研究において、①関係機関(行政または農協)が農業での就業を希望する都市住民と地元農業者との間でマッチングを行う取り組み(無料職業紹介を含む)、②農協が福祉施設の利用者と地元農業者との間でマッチングを行う農福連携(施設外就労)の取り組み、③酪農ヘルパー組織における特定技能外国人の受け入れ等の実態調査を実施できており、おおむね当初の計画に沿って進行している。ただし、2020年からの新型コロナ禍により、全国的な広域移動を行う「流動的アルバイター」と来日外国人を含む冬季リゾート就業者の調査は十分に実施することができていない。それに代わり、2019年度からスタートした特定技能制度による外国人材の受け入れに注目し、道内の複数事例にアプローチすることとした。また、2022年度以降においては、宿泊研修機能を備えた拠点施設を活用した地域レベルの幅広い人材確保の取り組みを調査することとし、実態調査の対象とする複数の候補を有している状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で着目した「新たな給源」について、①関係機関(行政または農協)がマッチング主体となった都市住民の短期的雇用、②農協がマッチング主体となった農福連携(施設外就労)の取り組みについては概ね調査が終了している。今後は、③2019年度からスタートした特定技能制度による外国人材(特定技能外国人)の農業分野での受け入れ、また、④宿泊研修機能を備えた地域農業の拠点施設を活用した人材確保の取り組みを重点的に調査することとし、最終年度(2013年度)に向けた取りまとめを行っていきたい。
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Causes of Carryover |
2022年1月以降の新型コロナウイルスの感染拡大により、予定していた出張(実態調査)が実施できず、2022年度に実施することとした。
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