2020 Fiscal Year Research-status Report
Empirical Study on the Reorganization of Fruit and Vegetable Distribution for Food Business
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19K06269
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坂爪 浩史 北海道大学, 農学研究院, 教授 (80258665)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 6次産業化 / 事業継承 / 継承時の遠心力 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は北海道内の6次産業化の成功事例を2パターンにおいて分析した。 ひとつ目は、旭川近郊の谷口農場である。同農場は農業生産部門のほか、ミニトマトを中心とする加工部門、旭山動物園内の売店など直売部門ならびにスーパー等への直接販売を統括する営業部門を擁しており、これらを有機農産物を基軸として結合させ、農場全体として6次産業化を実現していた。その成功要因として、①役員を含めて17人の正規職員を確保し、それぞれが専門的かつ自律的に各部門を担当する体制を確立していること、②加工部門の原料について、自農場産を中心としつつ、品目によっては道内他産地などから調達し、さらにOEMによって、工場の稼働率を確保しつつ、製品の販売問題も緩和していること、③直営店では販売する農産物ならびに調理用食材について、中心的な品目は自農場産の農産物および加工食品で賄いつつ、それ以外は他農家、他産地あるいは他の加工業者の製品を広く利用していること、の3点を抽出した。加工部門、直営店部門はそれぞれ、専門的な担当者の下、ある程度自立的に運営されている。このことが同農場の6次産業化を持続可能なものにしているのである。ただ、こうした多岐にわたる業務を次世代が統括し続けることには困難が予想されることも指摘した。 ふたつ目は、十勝において農村レストランを成功させ、現在は放牧養豚に取り組む中野氏の軌跡を分析した。同氏はレストラン開業以前は軽種馬農家であったが見切りを付けてレストラン事業を開始、その後、宿泊事業(コテージ)を併設したが兄家族に分割、さらに息子夫婦が帰村してレストランを継承する目処が立つと同事業を譲渡し、自らは放牧養豚に集中する、という転回を遂げている。同氏の軌跡は一括すれば6次産業化とみることも出来る。同氏の場合は、事業継承時に働きやすい遠心力を予見し、それを未然に防ぐモデルであると位置付けられるとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルスの影響により、フィールド調査が大幅に遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウイルスの影響を受けにくい、所属機関周辺地域でのフィールドワークを中心に組み立て直したい。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの影響により、フィールドワークがほぼ実施不可能な状況に陥った。翌年度は地域を限定して活発なフィールドワークを展開したい。
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