2022 Fiscal Year Research-status Report
リアルデータを用いた農業食料ネットワークの解明と地域経済循環の可視化に関する研究
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19K06271
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
池島 祥文 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (20607923)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地産地消 / FromToデータ / アグリフードネットワーク / 地域経済循環 / 企業間取引データ / 企業エコシステム / 連鎖的取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域農業と農業・食料関連産業によって生産・流通・消費に至るネットワーク関係(アグリフードネットワーク)を可視化するにあたって、2022年度は、以下の取り組みを行った。
第一に、2022年度も新型コロナウイルスの感染拡大の影響が残ったが、屋外で実施されるマルシェ等のイベントを活用して、対象地域全体ではないものの、着実に、FromToデータの収集を実施できたといえる。生産者から得られたデータに加えて、JAから入手している直売所出荷情報をもとにして、収穫地点・出荷者居住地点から出荷先地点までの距離データから空間的近接性を、時間データから時間的近接性をそれぞれ測定することに成功した。これらデータから流通経路を示すフードローを可視化することによって、生産者の分布は農地の分布にある程度規定されるものの、小売店舗や飲食店の立地を通じて、地産地消の範囲が形成されていく点が見いだされた。これらの分析結果を査読付論文誌に掲載することができた。
第二に、企業間取引を通じた地域経済への波及関係を示すエコシステムデータの構築を通じて、地域未来牽引企業のうち、資材部門から小売部門に至るまでの農業食料関連産業を対象に、その取引の連鎖関係を解析した。Tier 0と位置づけられる対象企業の仕入と販売に関する取引連鎖を、Tier 1→Tier 2→Tier3と順に示すデータセットをもとに、取引企業のうち、地元立地企業がどの程度各Tierにおいて含まれるのか、また、その取引額がどのように分布するのかを算出した。その結果、Tier 1に地元企業が含まれているかどうかによって、その後の、連鎖的取引が地域内にて実現するのかに大きく影響することが明らかになった。また、対象企業のTier 2までの累計取引額によって、その立地地域への経済効果があるかどうかが判明する点も確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究期間中、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けていたため、やはり、通常期と異なり、現地調査は非常にやりにくかった。研究計画の前半から、現地調査が困難であったこともあり、その後、計画全体として進捗が遅れている。
そのなかで、データ収集そのものに苦労したが、限られた情報を利用しつつも、一定の成果をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
約3年間のコロナ禍の影響で、現地調査を必須とする本研究課題において、計画全体の遅れを取り戻すことは難しい。 そのため、部分的な計画遂行にならざるを得ないが、着実に成果としてとりまとめられる部分を優先して取り組む。
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Causes of Carryover |
研究期間全体を通じて、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、十分な調査活動ができず、研究遂行が遅れていたため、次年度使用額が発生している。 研究期間を延長したので、調査活動費やその成果報告のための費用として残予算を執行する予定である。
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Research Products
(3 results)