2023 Fiscal Year Annual Research Report
リアルデータを用いた農業食料ネットワークの解明と地域経済循環の可視化に関する研究
Project/Area Number |
19K06271
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
池島 祥文 横浜国立大学, 大学院国際社会科学研究院, 准教授 (20607923)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 地産地消 / FromToデータ / アグリフードネットワーク / 地域経済循環 / 企業間取引データ / 企業エコシステム / 連鎖的取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域農業と農業・食料関連産業によって生産・流通・消費に至るネットワーク関係(アグリフードネットワーク)を可視化するにあたって、2023年度は、以下の取り組みを行った。 第一に、流通から消費までのネットワークデータを作成するために、小売店を対象に、来場した消費者へのヒアリング調査を実施し、消費者自宅までの買物におけるFromToデータを収集した。ただし、調査ポイントは限られており、まだ網羅的な情報収集までには至っていないため、収集できたデータの解析等については、今後の課題として残されている。 第二に、企業間取引を通じた地域経済への波及関係を示す企業エコシステムデータの構築とその活用を通じて、食品加工産業を中心とした農業食料関連産業を対象に、仕入および販売に関する取引の階層ごとに、その取引額を算出するとともに、そのうち、地域内に支出される取引額の割合を測定した。また、こうした取引の連鎖関係をもとに、災害復興時における被災地産業の取引数の変化を検討する際にも応用し、取引連鎖が広範にわたるサプライチェーン型と比較的限定的な地域産業型とを比較した結果、サプライチェーン型のほうが回復しやすい点が確認された。
これらを踏まえ、研究期間全体では、下記の成果が得られたといえる。第一に、地域農業に関するアグリフードネットワークを具体的な位置情報を伴う空間データとして可視化するとともに、そのネットワークに付随して生じる経済的効果についても定量的に測定する方法を開発することができた。 第二に、企業間取引を対象に、各企業の連鎖的取引情報を踏まえて、各企業が地域経済にどの程度貢献しているのかを把握する方法論を開拓するとともに、その実証研究を進めることができた。
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