2020 Fiscal Year Research-status Report
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19K06274
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
中間 由紀子 島根大学, 学術研究院農生命科学系, 助教 (90709130)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生活改善普及事業 / USCAR / 琉球政府 / 生活改善グループ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、USCAR(琉球列島米国民政府)の直接統治下にあった沖縄地域において実施された生活改善普及事業の方針とその実態について明らかにすることにある。さらに、本研究結果およびGHQによる間接統治が行われた本土の生活改善普及事業との比較を行い、統治方式の違いによって事業内容や結果に差異がみられたのか否かを検討することが研究の最終的な目標である。本研究の目的を達成するため、複数年にわたってUSCAR、琉球政府、生活改善グループ等に関する文献資料の調査・収集、生活改善普及事業の関係者(元琉球政府職員、元生活改良普及員、元生活改善グループの構成員等)に対する聞き取り調査を実施する。 2020年度は、USCARおよび琉球政府が発行した関連資料の調査・収集、元生活改良普及員等の関係者に対する聞き取り調査を実施する予定であった。しかし、2020年4月以降、新型コロナウイルス感染症の流行により、現地調査を実施することが出来なかった。そのため、前年度に収集した未整理資料の分析を実施した。その結果、本土の協同農業普及事業(農業改良普及事業、生活改善普及事業、農村青少年育成の総称)の根拠法である農業改良助長法の草案を作成した、リンゼー・A・ブラウン博士が、沖縄地域の事業にも関与していた可能性があることが明らかになった。さらに、沖縄県の生活改善関係の職員らが本土の研修や視察等に度々赴いていたことが判明した。以上の点から、沖縄地域の生活改善普及事業は、本土の事業の影響を受けた可能性が高いということが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、研究対象地の沖縄県や移動の際の経由地が所属大学により度々「感染注意地域」に指定された。「感染注意地域」への移動は極力控えることとされ、やむを得ず移動した場合は帰県後10日間の在宅勤務が義務付けられた。調査を実施した場合、他の業務に支障が出るため、2020年度は現地において資料収集や聞き取りを全く行うことが出来なかった。 以上の理由により、予定していた研究計画を遂行する事ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は、USCARの資料の調査および詳細な分析を行う。さらに、琉球政府が発行した生活改善普及事業に関する資料の調査・収集を行い、同政府の事業方針について検討する。また、元琉球政府職員、元生活改良普及員、元生活改善グループの構成員等の関係者に対する聞き取り調査を実施し、占領期沖縄地域の生活改善普及事業の実態について明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定していた現地調査が全く実施できず、466千円の繰越が生じた。そのため、請求額と合せて1066千円となる。次年度は物品費40千円、旅費550千円、その他(文献複写費)10千円の計600千円を使用する計画である。 2020年度に計画していた研究が大幅に遅れたため、最終年度となる2021年度に研究期間の延長を申請する予定である。残額(繰越額)の466千円は、当該期間に使用したいと考えている(物品費40千円、旅費426千円)。
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