2019 Fiscal Year Research-status Report
ポスト人口転換期における「農的」自然の資源管理問題
Project/Area Number |
19K06277
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
藤村 美穂 佐賀大学, 農学部, 准教授 (60301355)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲岡 司 佐賀大学, 農学部, 教授 (60176386)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ポスト人口転換期 / 生産物 / 農的自然 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ポスト人口転換期における「農的」自然―とくに山―に、現在、誰がどのようにかかわろうとしているのか、について、既存のデータを用いて動向をさぐるとともに、それには現れないような、小規模ではあるが、多数の人によって行われている活動に着目した実態把握および経時的な変化の把握をおこなうことを目的としている。 初年度は、統計資料や国土情報などのデータ整理、山で行われる諸活動や山村住民と山とのかかわりについての、情報収集(専門的知識の収集、および現地調査を開始する計画であった。研究会については、「水」を介したものと人の流れに焦点をあてた研究会を、鹿児島大学 連合農学研究科 分野別セミナーの一環として「環境問題と農村コミュニティ ―日本とアジア―」というタイトルで開催し、それと前後して今後の研究計画も議論した。講演はインドネシア、スリランカ、ウガンダ、日本の研究者による講演であった(2020年2月7日) その中で、生産物や農的自然の移動を考える際には、流域全体という広い範囲で考える必要性を意識させられ、調査対象についての計画も再考させられた 山での生産物が生み出す人と人とのつながりについての調査のための質問紙もまた、準備をすすめている。当初、九州の山村を中心に調査する予定であったが、聞き取りをすすめるなかで、山間地と海辺が、労働力の交換、資源の交換、水のコントロールやダム建設などをつうじた人の交流が古くからあり、現在でも形を変えて続けられていることがあきらかとなったため、対象について広げる必要性を認識した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度は、統計資料や国土情報などのデータ整理、山で行われる諸活動や山村住民と山とのかかわりについての、情報収集、および現地調査を開始する計画であった。また、調査と並行して定期的に研究会を開催し、方法論や情報の共有化をはかる計画であった。 これらのうち、データの整理については、データ収集などの準備をおこない、整理を開始している。また、研究実績の欄に述べたように、漁村での聞き取りやアンケート調査をとおして、人(労働力)の流れとその歴史的変遷について把握することができたことから、漁村も調査対象に含める計画にした。 研究会の開催については、親族の死亡、年度末の新型コロナウイルスの感染拡大による影響という状況により、次年度以降に重点をうつしたため、2月はじめに一度開催したのみである。今年度以降、Webでの講演なども含めて、形態を再考しつつ、進めていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画と比べると、やや遅れているが、4年間のプロジェクトであるため、大筋としては計画通りの遂行が可能である。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大が再び生じる可能性も考え、調査の方法も(郵送など)考え、それが可能になるための準備をすすめておきたい。初年度は、人口に関するデータ整理を中心におこなったが、今後、植生変化など、多方面のデータとの組み合わせが可能なようにデータ収集をすすめる。 資料の整理については、計画通り進める予定である。
|
Causes of Carryover |
昨年度は、活動や研究はすすめているが、予算を執行することができなかった。 その理由としては、研究会は鹿児島大学連合農学研究科分野別セミナーに続けておこなったため、講師謝金が発生せず、交通費については連合大学院からの補助を利用することができため。また、6月に親族が死亡したため夏休みの調査ができず、3月に予定していた調査は新型コロナウィルス感染拡大のためにできなかったため、調査のために計上していた費用を執行することができず、調査の計画は2年目にまわすこととした。
|