2022 Fiscal Year Research-status Report
乾田に適応したアキアカネの保全に向けた冬季湛水管理の高度化
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19K06296
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
神宮字 寛 福島大学, 食農学類, 教授 (10299779)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アキアカネ / 早期栽培水田 / 水管理 / 気候変動 / 温暖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
絶滅危惧種指定されている宮崎県のアキアカネと比較対象として福島県のアキアカネを対象に, アキアカネ保全を目的とした気候変動下の水稲栽培管理の検討を行った. その結果, 宮崎市において卵の発育ゼロ点と有効積算温度は早期栽培条件では発育ゼロ点5.8℃, 有効積算温度103.4日度となった. また, 幼虫では発育ゼロ点10.6℃, 有効積算温度678.8日度となった. 福島県のアキアカネ卵の発育ゼロ点と有効積算温度は, 早期栽培条件で9.7℃, 52.9日度, 普通期栽培条件では13.8℃, 33.6日度となった. 幼虫は, 発育ゼロ点9.8℃, 有効積算温度712.8日度となった. 算出された卵と幼虫の発育ゼロ点と有効積算温度と水田水温を用いて, アキアカネの孵化予測日と終齢到達予測日の推定を行った. 水田水温の推定には, 宮崎市の平均気温(2013~2022)を用いて推定した. その後, 宮崎県のJAの聞き取り調査から宮崎市の代かきと中干し日を明らかにし, 推定した孵化日と終齢到達日と比較した. その結果, 宮崎市の早期栽培では孵化後の代かき, 終齢到達前に中干しが行われていると推測された. 特に, 現行の早期栽培(コシヒカリ)の中干し時期(5月15日頃)は幼虫の終齢到達予測日(6月6日)よりも22日程度も早く行われていると推定された. したがって, 宮崎市における早場米の栽培方法は, アキアカネの羽化発生数の減少を引き起こしている可能性が高いことが明らかとなった. 九州地方のアキアカネの再生を図るためには, 中干しの延期が必要である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響により現地調査が十分に実施できなかった。また、実験に用いる供試卵が十分に確保できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験データを解析し公表論文としてまとめる作業を行う。九州地方の現地調査を行い、水田に生息するアキアカネの生息状況調査を行う。
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Causes of Carryover |
昨年度に研究成果の公表ができておらず、論文投稿料や英文校正料を支出する予定である。また、現地調査による旅費の支出を予定している。
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