2020 Fiscal Year Research-status Report
水田域魚類の保全・再生に向けた酸素債発生流速の解明
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19K06302
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
竹村 武士 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, ユニット長 (20373227)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | タモロコ / 酸素消費量 / 臨界遊泳速度 / 回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
水田域魚類の種多様性指標種としてタモロコを対象に夏季および冬季を想定した水温条件(各21℃、9℃)における臨界遊泳速度(Ucrit)実験データ(2019年度取得)を分析し、夏季では平均3.6BL/s・標準偏差1.0BL/s、冬季では同1.6BL/s・0.5BL/sの値を得た。冬季条件では9割の個体が2.0BL/s未満(4割は1.5BL/s未満)を示し、このような低水温下において、極めて活動性の低いこと、基礎代謝等酸素消費量の測定には値の不安定性が難となることを確認したため、以後の実験は夏季条件に絞って実施した。 実験では前年度定式化した手順で、1個体ずつ馴致過程→増速過程→回復過程の順に、各速度制御下で酸素消費を測定した。すなわち、馴致および回復過程では0.8BL/sを維持、増速過程では10min毎に0.1BL/sずつ増速し、上限としての速度に4水準(2.4BL/s、2.8BL/s、3.2BL/s、3.6BL/s)を設けて測定を繰り返した。 各7、1、7、7回の実験で各個体が泳ぎ切ったため、このことを考慮してUcritを再考察した。再考察では平均4.1BL/s・標準偏差1.0BL/sの正規分布累積確率の当てはまりの良さが考えられた。このとき各水準はUcritの約60~90%水準に相当する。 データ蓄積(各水準の繰り返し)にやや遅れが生じているが、ここまでのデータ分析によると、回復過程における酸素消費量について遊泳(増速過程)後に高い代謝レベルを示すか否かの境界は2.4~3.2BL/sの間、すなわち、Ucritの60~80%水準に在る可能性が推察された。このことはUcrit3.2BL/sを示した1個体および増速上限速度3.2BL/s水準での1個体が回復過程において斃死したこと、さらにニジマスにおけるUcrit70%水準流速での乳酸蓄積の発生という既往知見とも符合した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍での所属異動に伴う機器の移設と再校正に加えて補助者の必要性が発生等の理由によってデータ蓄積(水準毎の繰り返し実験データの取得)に遅れを生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
遅れの回復に努めるとともに蓄積を待つことなく随時データを分析に供することでの取りまとめを図る。
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Causes of Carryover |
次年度使用額の発生はコロナ禍での所属異動に伴う機器移設と再校正に加えて新たに補助者の必要性が発生した等により進捗にやや遅れが生じたことに伴うものである。使用計画としては遅れの回復のための補助者の雇用を予定して課題の推進に努めることとする。
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Research Products
(1 results)