2023 Fiscal Year Annual Research Report
水田域魚類の保全・再生に向けた酸素債発生流速の解明
Project/Area Number |
19K06302
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
竹村 武士 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, グループ長補佐 (20373227)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | タモロコ / 酸素消費量 / 臨界遊泳速度 / 回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
馴致過程,増速過程,回復過程の順に1個体(1サンプル)ずつ実験データを蓄積してデータ解析を進めた.実験水温は活動活発な夏季を想定して21℃とし,各過程における付与速度制御下(馴致過程と回復過程で0.8BL/s,増速過程では0.9BL/sで開始し,以後上限速度に到達するまで10分経過毎に0.1BL/sを増速)で酸素消費量を測定(10分間隔)した.上限速度は本研究初期段階で求めた疑似的臨界遊泳速度(Quasi-Ucrit.solidblocking-effectを考慮した値.平均4.1BL/s)の約60~90%水準(2.4,2.8,3.2,3.6BL/s.ただしsolid-blocking-effect非考慮)とする4水準とした.70~90%の3水準で各15サンプル,60%で10サンプルのデータを取得,解析した.サンプルごとの酸素消費量はバラつきが大きく,データ解析では各水準における外れ値検定によるフィルタリングを行った.データ解析から見えた傾向は次の通りである.1)馴致過程における微流速付与時の酸素消費量とくに低位安定時のそれは平均2.2mgO2/kg/min前後,2)増速過程における酸素消費量は2.5~2.7BL/s辺りから流速に比例して上昇傾向がみられるが,それより遅い流速範囲では不安定でこの流速範囲における不安定な遊泳状態を反映したと考えられた,3)事後過程においては,70および80%水準で10分後(事後過程最初の測定値)にはそれ以降,また,馴致過程における低位安定時と同程度の酸素消費量に低下したが,90%水準では20分後まで上限速度(3.6BL/s)付与時の値を上回るなど異なる推移を示し,統計的にも50分後までは70,80%水準と比べて差がみられた.以上から80%水準の速度までが長時間遊泳や休憩が可能な酸素債を発生させない流速範囲と示唆された.
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