2020 Fiscal Year Research-status Report
NIR3.0にむけたAIを活用した分光ビッグデータの解析手法の確立
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19K06308
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
源川 拓磨 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 主任研究員 (10571698)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スペクトル解析 / 機械学習 / データクレンジング / AI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,スペクトルデータ向けのデータクレンジング法を開発し,モデルデータおよび実サンプルデータでの機械学習に適用し,データクレンジングの適用の有無による解析結果の差異を明らかにする。2020年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 実サンプルデータでの検証:前年度に行った、スペクトルデータ向けのデータクレンジング法の開発およびモデルサンプル(糖濃度を段階的に調整した水溶液)の近赤外スペクトルを用いた解析に続いて、今年度は開発したデータクレンジング法の有効性を明らかにするために、実サンプル(農産物や食品素材)の近赤外スペクトルを用いて代表的な機械学習である回帰分析および判別分析を行った。実サンプルとしてアサリ貝および青果物の果汁を用いて、前者は鮮度判別を、後者ではBrix糖度の回帰分析を行った。 アサリ貝の鮮度判別においては、市販のアサリ貝を購入して4日間冷蔵し、貯蔵中のアサリ貝の近赤外スペクトルを殻付きのまま測定した。購入日のものを貯蔵前、冷蔵したもの(1~4日)を貯蔵後として、PLS判別法を用いて貯蔵の有無の判別モデルを構築した。スペクトル前処理を行わない場合、判別的中率は87%であったが、データクレンジング法の適用によって100 %に向上した。 青果物果汁の糖度分析においては、11種類の青果物(トマト、バナナ、モモ、キウイ等)の果汁についてBrix糖度(5~25%)と透過反射スペクトルを測定し、PLS回帰法を用いてBrix糖度の検量モデルを構築した。スペクトル前処理を行わない場合、決定係数は0.70、RMSEは3.3%であったが、データクレンジング法の適用によって決定係数が0.99、RMSEが0.5%に向上した。 以上の結果から、開発したデータクレンジング法が実サンプルのスペクトルデータの機械学習に対しても有効であることが確かめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データクレンジング法の開発と実サンプルの近赤外スペクトルを用いた解析による性能評価を達成しており、当初の計画通り順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き実サンプルでの性能評価を行うために農産物や食品素材の近赤外スペクトルを用いた解析を行い、その結果をもとにデータクレンジング法の改良を行う。また、人為的に欠損値や異常値を与えたスペクトルデータを用いて、これらの検出能力を評価する。さらに、適用する範囲を分光イメージングのスペクトルデータに拡張し、データクレンジング法の汎用性を評価する。
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Causes of Carryover |
物品費の予算について、当初予定よりも割引された金額での購入が可能となり、結果として未使用額が生じた。未使用額は次年度の物品費として利用する。
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