2023 Fiscal Year Annual Research Report
海外味覚審査と多感覚器分析システムを利用した日本産農産物の味覚評価推定方法の開発
Project/Area Number |
19K06309
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
柏嵜 勝 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (00282385)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 日本産果実 / 味覚審査 / 官能評価 / 呈味成分 / 揮発成分 / 味覚推定モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、海外食味審査で優秀味覚賞を得ることが可能な超高品質流通技術の研究成果と人間の味覚・嗅覚・視覚の数値化が可能な多感覚器分析システム(味覚・嗅覚・視覚)を効果的に用い、味覚審査(第三者評価)データと呈味成分、味覚・嗅覚・視覚の分析データを解析しモデル化することによって味覚推定方法を開発する予定であった。 しかし、2020年1月以降のEU圏での新型コロナ急速拡大による都市封鎖措置のため味覚審査への出品ができず、また国内でもイチゴ生産圃場への立入りや生産者との接触が制限されたため研究の延期を余儀なくされた。さらに、延長申請が認められた2022~2023年度は、ウクライナ侵攻のためEU圏への生鮮品の輸送が大幅に制限されたため、EU圏での味覚審査を断念した。そこで2019年度までに実施したイチゴ果実および非加熱果汁100%ジュース(リンゴ,ミカン,トマト)の味覚審査データと呈味成分および多感覚器分析データを用いて、味覚評価推定方法を検討した。 味覚審査の評価項目であるSweetness(甘み)はBrix、Fructose、Sucroseと正の相関が高く、Citric Acid(クエン酸)と負の相関が高かった。Sourness(酸味)はMalic Acid(リンゴ酸)と正の相関がたかった。甘みは味覚分析センサーAHS,CTS,SCSの出力、酸味は全センサーと関係性が高く、これらのデータを用いて味覚を推定するPLS回帰分析モデル化では決定係数R2が0.96以上(SEC0.06)の推定モデルが作成できた。嗅覚分析に於いて官能スコアと相関の高いピークを抽出し、イチゴ品種別の香りの特長を表現するフィンガープリントを開発した。味覚審査項目Olfactionの推定モデルはR2が0.6(SEC0.16)と低い結果であるが、味覚審査データの蓄積によるモデル改善の可能性を得た。
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