2020 Fiscal Year Research-status Report
腎臓病患者が安全安心に喫食するための生野菜カリウム含有量非破壊測定装置の開発
Project/Area Number |
19K06312
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中野 和弘 新潟大学, 自然科学系, フェロー (70188994)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 慎太郎 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (70452076)
滝沢 憲一 新潟経営大学, 観光経営学部, 准教授 (60730132)
窪田 陽介 福島大学, 食農学類, 准教授 (40535267)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 野菜サラダ / カリウム含有量 / 慢性腎臓病 / 非破壊測定 / 可視・近赤外分光法 / レタス / CARS |
Outline of Annual Research Achievements |
慢性腎臓病は新たな国民病といわれており、患者はカリウム摂取量を健常者の約半分に制限されていることから、生野菜の食事断念、「水煮」・「茹でこぼし」によるカリウム流出調理あるいは高価格な「低カリウムレタス」の購入等を余儀なくされており、生野菜の喫食願望が強い。しかし、低カリウムレタスのカリウム含有量はバラツキがあることや、種々の野菜が混包されたミックスサラダの総カリウム含有量を測定する技術がないため、カリウム摂取量の非破壊測定技術の開発が喫緊の課題となっている。 本研究は、近赤外ハイパースペクトル画像と人工知能によりミックス野菜サラダのカリウム含有量を無侵襲で迅速・非破壊的に測定する技術を開発するものである。 供試材料には生野菜サラダ用レタスを用いた。レタスから得られた可視・近赤外分光データは、UVE (非情報性変数除去),CARS(競合的適応再重み付けサンプリング), mwPLS(移動枠式PLS法) によりデータノイズの除去と波数選択を行い、カリウム濃度の予測精度を比較した。その結果、CARSで選択された特定波長で構成されたLS-SVM(最小二乗関数近似法による機械学習モデル)による予測のR2(決定係数)が最も高く、葉身でR2=0.89, 葉柄でR2=0.92であった。また、検量線の精度を検定するためのRPDは、それぞれ4.07、3.17であり、ともに実用的な精度で推定可能と判定された。 これらのことから、本研究の可視・近赤外分光法による無侵襲・迅速・非破壊的カリウム測定技術は、腎臓病患者の食生活を十分に支援できるものと期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染防止策により、国内外での成果発表と研究分担者との綿密な検討は実施できなかったものの、昨年度までに予定していた実験は終了した。 これまでの研究成果を国際誌へ2編投稿し、得られた分光データの一次微分値をcompetitive adaptive reweighted sampling(CARS)+ニューラルネットワークのradial basis function(RBF)で処理した結果、葉柄部および茎部での決定係数(R2)はそれぞれ0.86、0.80であり、residual predictive deviations(RPD)はそれぞれ2.44、2.47と好成績となることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
近赤外ハイパースペクトルカメラによるレタス内カリウム濃度分布の測定技術を開発する。そのため、各画素におけるカリウム濃度の計測精度の向上を図る。さらにその測定技術を応用しレタス全画素のカリウム濃度を積算することで、カリウム含有量(摂取量)の測定技術を開発する。さらに、レタスと同様にカリウムを高濃度に含有するキウリ、トマト、メロン、イチゴ等について、本計測システムの適用方法を検証する。
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Causes of Carryover |
前年度は新型コロナウイルスの影響により、国内外の学会発表で支出する予定であった旅費を支出しなかったこと、また人件費・謝金についても予定していた人材を投入できなかったことから、次年度へ繰り越すことにした。 また、レタスのカリウム濃度測定に使用する予定の現有機(マルチスペクトルカメラ)は、画素ごとのカリウム測定精度がやや不十分であることがわかったため、これに替わって近赤外ハイパースペクトルカメラを導入することとし、そのための治具調達費として上記の繰り越し費目を充てる予定である。
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Research Products
(5 results)