2019 Fiscal Year Research-status Report
セマンティックウェブ技術を用いた遺伝素材の交配・解析系統の選定を支援するシステム
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19K06315
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
市原 寿子 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (50362398)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | セマンティックウェブ / 植物 / 作物 / 育種 / 形質 / 系譜 / RDF / オントロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、育種研究者が着目する系統や形質の情報に基づいて交配や解析に適する遺伝素材の組み合わせ候補を偏りなく抽出、提示するシステムをセマンティックウェブ技術によって構築する。セマンティックウェブ技術は、ウェブ上に存在する情報の意味をコンピュータが識別できるように整備することで、情報の抽出や判別、分析作業の自動化を可能にするものである。共通する識別子を介して情報が連結される性質を利用し、公開されている遺伝素材の系統間の親子関係を介して系譜情報を構築する。この系譜情報は、それぞれの遺伝素材が保有する形質情報とも紐づいており、系統や形質についての多元的な比較や情報の抽出を可能にする。 現在までに、遺伝素材の情報は、農林水産省品種登録ホームページ(http://www.hinshu2.maff.go.jp/)と、農研機構の農業生物資源ジーンバンク事業により構築された遺伝資源データベース(https://www.gene.affrc.go.jp/databases.php)のそれぞれから公開されている系統を中心に収集した。対象植物の数が多いため、系統数や形質情報が充実している政令指定作物から順に取り扱い、約31,000件のデータを対象に、データセットとシステムを構築した。 本年度は特に、果樹のリンゴに着目してデータ整理を実施した。農林水産省品種登録ホームページと農研機構遺伝資源データベースの2箇所に由来する約900品種の情報を同一システム上で検索することが可能となり、その結果として、複数世代を遡った系統やその形質の情報を抽出することが可能となった。抽出例としては、リンゴ品種「秋映」(品種登録ホームページ由来)の母方(種子親)の曽祖父系統にあたるリンゴ品種「デリシャス」(遺伝資源データベース由来)の発芽期、満開期、糖度などの形質値や、観測地、観測年などの観測条件の情報が挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データを格納し、検索を実行するシステムの基盤の構築は完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、データ整備の対象をリンゴだけでなく他の政令指定作物にも拡張する。データ整備に関しては、自動化が不十分であり、そのためのプロトコルの検討を進めて整備作業に反映する。また、現在実装している検索インターフェースはユーザーフレンドリではないので、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の開発を行う。GUIを開発・実装後、インターネット上でシステムを公開する。 2021年度は、データ整理の対象を政令指定作物からさらに他の作物へも拡張する。ユーザーの意見を収集して利便性を向上させる。
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Causes of Carryover |
本年度末に所属機関である大阪大学での任期満了を迎えるにあたり、当初予定していた、データを蓄積・公開するための新規サーバーマシンは導入せずに既存のマシンで開発作業を進め、第二年次に異動先の研究機関で新しいマシンを導入する計画に変更した。また、英語論文の投稿準備が本年度末までに完了しなかったため、論文発表にかかる費用は計上しなかった。
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Research Products
(2 results)