2020 Fiscal Year Research-status Report
セマンティックウェブ技術を用いた遺伝素材の交配・解析系統の選定を支援するシステム
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19K06315
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
市原 寿子 公益財団法人かずさDNA研究所, 先端研究開発部, 特任研究員 (50362398)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | セマンティックウェブ / 作物 / 育種 / 形質 / 系譜 / RDF / オントロジー / データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、育種研究者が着目する系統や形質の情報に基づいて交配や解析に適する遺伝素材の組み合わせ候補を偏りなく抽出、提示するシステムをセマンティックウェブ技術によって構築する。セマンティックウェブ技術は、ウェブ上に存在する情報の意味をコンピュータが識別できるように整備することで、情報の抽出や判別、分析作業の自動化を可能にするものである。共通する識別子を介して情報が連結される性質を利用し、公開されている遺伝素材の系統間の親子関係を介して系譜情報を構築する。この系譜情報は、それぞれの遺伝素材が保有する形質情報とも紐づいており、系統や形質についての多元的な比較や情報の抽出を可能にする。 本年度は、初年度に対象の中心としたリンゴを除く、他の政令指定作物についてデータ整理を実施した。また、本研究では、データ構造がネットワーク状のグラフ型データベースを採用することで、自動的な系譜情報の生成や整理の実施、検索の効率化を肝としているが、検索の対象や条件によっては、データ構造がリレーショナル状であるリレーショナルデータベースでの検索の方が効率的である可能性が生じたため、その導入と併用を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
情報の検索効率を向上する手立てとして、グラフ型のデータベースに加え、当初の予定になかったリレーショナルデータベースの併用を検討し、そのシステムの基盤を構築した。この変更に伴い、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)については、本来、2020年度に実装とインターネット状での公開を計画していたが、デザインと開発に止まった。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2021年度は、データ整理の対象を政令指定作物からさらに他の作物へも拡張する。GUI開発を完了して、サーバーへ実装後、インターネット上でシステムを公開する。
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Causes of Carryover |
当初計画からの変更案として、Docker (https://www.docker.com/)によるデータの配布とデータベース検索サービスを検討した。Dockerは、コンテナ型の仮想環境を作成、配布、実行するためのプラットフォームである。この導入によって、ユーザーは通常はインターネットに接続することなく、個人のマシン環境で情報検索などが可能となる。この検討のため、本年度のサーバーの購入を見合わせた。一方で、Dockerの扱いに際しては、使用するための環境構築が必要であり、全ユーザーがアクセス可能なサーバーでの提供は必要であると考え直した。次年度の前半にサーバーを購入して、同時にDockerでの配布と並行する形でサービスを実施する予定である。 また、英語論文の投稿準備が本年度末までに完了しなかったため、論文発表にかかる費用は計上しなかった。さらに、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、当初予定していた研究会や年会はオンライン開催や中止となったため、出張にかかる費用は計上しなかった。
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