2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of storage technique for promoting functional component contents in tomato fruits
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19K06318
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高橋 憲子 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (80533306)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 貯蔵環境制御 / トマト / リコペン |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請の研究では、近赤外分光分析法を用いたトマト果実リコペン含量の非破壊計測技術を活用し、リコペン生成に最適な貯蔵環境条件を明らかにするモデルを作成することで、動的に貯蔵制御を行い、1果実あたりのリコペン含量を15 mg以上に増加させることを目的としている。 2020年度は、可視・近赤外スペクトルデータを用いて、貯蔵温度を変化させた時の試料温度がトマト果実のリコペン含量の推定に与える影響を明らかにすることを目的とした。供試材料には、愛媛大学太陽光利用型植物工場で栽培されているトマト果実を用いた。収穫したトマト果実を3 ℃、20 ℃、40 ℃に設定したインキュベータに静置し、果実の試料温度が5 ℃、15 ℃、25 ℃、35 ℃の時に可視・近赤外スペクトルを測定した。近赤外分光測定は、分光測定器を用いて、トマト果実の果頂部と赤道部を暗幕下で計測した。トマト果実のリコペン含量はアセトンで色素抽出を行い、分光光度計を用いて測定した。 リコペン(560 nm)とクロロフィル(674 nm)の吸収波長付近では試料温度による可視・近赤外スペクトルへの影響は見られなかったが、970 nm付近では、試料温度が高くなるとピークが下に推移することが確認された。これは水の温度変化による水素結合の状態変化に伴うピーク移動であることが推察された。測定箇所と試料温度がリコペン含量推定モデルの精度に与える影響を調べた結果、果頂部・試料温度25 ℃のスペクトルデータを用いて作成した推定モデルが有効であることが示唆された。 今回の実験で得られたデータを教師データとし、リコペン含量を増加させるための最適な貯蔵温度と貯蔵時間を決定するモデルを作成していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リコペン含量を増加させるための最適な貯蔵温度と貯蔵時間を決定するモデル作成に必要な基礎データを順調に得ることができている。ニューラルネットワークモデル作成には教師データと検証用データの多数のデータセットが必要であることから、引き続き貯蔵温度変化時のトマト果実のリコペン含量のデータを取得していく。
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Strategy for Future Research Activity |
計画書通り、リコペン含量を増加させるための最適な貯蔵温度と貯蔵時間を決定するモデルを利用し、短時間でリコペン含量を増加させるための貯蔵環境条件についても検討を行い、消費者のニーズにあわせた機能性野菜の提供を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で国内学会及び国際学会で発表予定の旅費が未使用のため。
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