2019 Fiscal Year Research-status Report
Extraction of high-order information by deep learning from environment monitoring data on greenhouses
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19K06323
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
星 岳彦 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (80219162)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 深層学習 / Python / 施設園芸 / 環境モニタリング / 施設気象データ / モデリング / イチゴ |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度の検討として、UECSで制御されたイチゴ432株が植栽された高設養液栽培施設(面積120 m2)で得られた2018年11月~2019年3月(2018作)と2019年11月~12月(2019作)に1分間隔で記録されたデータ、暦日情報、変化時定数が大きい項目の移動平均値の合計18項目からデータセットを生成した。2018作は213,140 set、2019作は71,085 setになった。室内気温、室内相対湿度、室内CO2濃度を目的変数にしてモデリングし、データセット毎に目的データ以外を説明変数にして予測させ、実値との平均絶対誤差を評価した。入力数17、出力数1のニューラルネットの回帰モデルを用い、データセット正規化後、乱数でシャッフルした8割を学習に使用した。 深層学習モデルと重回帰モデル予測結果とを比較した。説明変数との一次関係性が比較的強い室内気温の予測でも、深層学習モデルの誤差が1/3.8になった。最も誤差が大きかったCO2濃度の予測においても、2018作のデータでモデリングし、2019作のデータで予測した結果を検討すると、前作より暖冬での窓閉鎖の遅れ、施用機器故障による、前年度とのCO2濃度の違いを、深層学習モデルでは、より的確に指摘できた。検討した深層学習モデルは、施設設置のパソコンやクラウドサーバでローカルな高精度環境予測モデルを構築して使うのに適すると考える。例えば、逐次的に予測をしつつ実測値との偏差を監視し、その変化でセンサの寿命診断、機器や施設の異常検知、管理者の操作ミスなどの高次情報検出を行わせる用途、石垣イチゴなどの超多棟小型ハウスの環境データ予測に使用し、個々のハウスにセンサを設置せずに低設置コスト環境制御を実現する用途等の実用化が期待できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書に記載した本研究の目的は、労力とコストが必要な制御機器の動作状況や環境制御設定値などの記録を必要とせずに、環境モニタリング装置の導入施設の環境記録データのみからの高次情報の抽出方法の提案である。対象になる高次情報とは、a)ノウハウの抽出、b)異常およびその前兆情報の抽出、c)関連情報の抽出の3点である。最終的な目標は、施設の環境記録データから、従来の方法では困難で、前述した高次情報の抽出が可能な深層ANNを利用したモデルの構成を提案することである。 本年度は、イチゴの高設養液栽培施設の環境計測制御データセットを用いて、室内気温、室内相対湿度、室内CO2濃度を出力にした深層学習によるモデリングを検討した。この結果、意図的に高度な環境制御が行われている中で、従来の重回帰分析などと比較して、より正確な予想ができただけでなく、b)異常およびその前兆情報、およびc)関連情報(気象変動)の高次情報の抽出が可能なことを示せた。本研究成果について、3件の学会発表と、1件の関連図書(共著)を実施することができた。 以上より、上記の区分の進捗状況であると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究は、地上気象環境によるモデリングの検討であった。次年度は、養水分の供給・吸収、光合成速度推定ガジェットとの連携による物質生産収支の深層学習モデルの適用について研究を進めていきたい。また、これまでの検討はパソコンベースの深層学習マシンでモデリングを行ったが、計算負荷はそれほど高くはなかった。そこで、研究成果の農業生産現場への早期普及を目指し、より廉価で、生産現場で使用可能性のあるRaspberryPiなどのCPU基板に移植して、UECSプラットフォームでのオンライン使用が可能であるか試してみたいと考える。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染防止のため学会大会が開催中止になり、旅費が使用できなかった。次年度の旅費及び消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)