2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K06334
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
野田 悟子 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (80342830)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | シロアリ / 原生生物群集 / 木質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、培養困難な環境微生物についてもメタゲノム解析などの配列情報解析が行われている。DNAの配列情報は潜在的な機能を理解する手段として非常に優れているが、一方で、現場環境の実際の機能や代謝を反映している訳ではないという問題点も認識されている。本研究では、個々の生物種の木質分解という類似した機能に着目し、その酵素学的特性を実際に測定することで、環境微生物の多種共存を可能にする要因に対する知見を得ることを目的とする。 食材性昆虫であるシロアリの腸内に共生する難培養性の原生生物群集は、木材成分の分解に主要な働きを担っている。この共生原生生物のなかでも、木片を細胞内に多く取り込んでいることが観察される原生生物種は非常に大型の細胞で浸透圧の調整などが難しく、また細胞内に取り込んでいる木片からの自家蛍光により、セルソーターでソーティングすることが難しい。そこで、大型の原生生物の細胞数がどのような条件で変動するのか解析した。 これまで原生生物の酵素遺伝子の発現を試みたが、大腸菌の異種発現系で活性型のタンパク質の発現には成功していない。今年度はこれまで不溶性画分として生産された酵素遺伝子について、発現用プラスミドの構築を再検討した。その結果、可溶性タンパク質の発現を行うことができた。しかし、酵素活性は検出できなかった。構造予測を行い、立体構造から活性が検出できなかった原因を予想した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
酵素活性測定を効率的に行う系を構築するために、いくつかの飼育条件でシロアリを飼育した際の原生生物種の変動の推移を計数し、大型の原生生物を効率的に回収する飼育条件を検討できた。また、酵素活性は検出できなかったものの、大腸菌の異種発現系で可溶性タンパク質として発現させることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度設定した大型の原生生物の細胞が増加する条件から、細胞の分取を行うためのセルソーターのシース液や、ソーティング条件の検討の準備を進める。活性測定がどの程度の細胞数で測定可能であるのか、また、ソーティング効率を上げるための遠心分画条件についても検討を行う。 大腸菌の異種発現系で可溶性画分に発現した酵素の立体構造から、活性が検出できなかった原因を推定したところ、N末端側が活性ドメインに巻き込まれているために基質がポケットにアクセスできないことが原因であることが予想された。次年度は、活性型の酵素を得るためにtag配列の改変などの検討を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
研究試料のシロアリのサンプリングを行う予定であったが、都合により調査に行くことができなかった。またその影響で試薬類の購入などを調整したため、使用額に変更が生じた。研究計画自体に変更はなく、前年度の研究費も含めて当初予定通りの計画を進めていく。改めてサンプリングを行う計画で、日程の調整を行う予定である。
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Research Products
(7 results)