2023 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル国の重金属汚染の拡大と畜産食品のリスク:簡易調査手法の確立を目指して
Project/Area Number |
19K06337
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
戸敷 浩介 宮崎大学, 地域資源創成学部, 教授 (00542424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長命 洋佑 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (10635965)
内藤 博敬 静岡県立農林環境専門職大学, 生産環境経営学部, 准教授 (30254262)
劉 庭秀 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (70323087)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 鉛汚染 / 遊牧 / モンゴル国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,モンゴル国の都市化・工業化により,一部の地域の土壌や家畜の血液から高濃度の鉛が検出されたことを受けて,遊牧形態の畜産業で生産されるミルクや乳製品に対する鉛の含有量について調査し,畜産製品を通じた鉛のリスクについて現状を調べることと,モンゴル国における畜産食品の鉛のリスクに関する簡易調査手法について検討するものであった。しかし,2020年からの新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により,2020年,2021年はモンゴル国への渡航が困難となり,2022年にようやく渡航が可能になった。また,もともと乳製品の分析等は帰国して行う予定だったが,成分分析目的の輸入が困難であることが分かったため,乳製品食事量の調査を行うことにした。 2019年までに鉛汚染が確認された地域で本調査に協力をしていただいていた畜産農家が,2022年夏にはこの地域を離れていたため,乳製品のサンプリングが出来なかった。しかし,モンゴル国立大学の研究協力者へのヒアリングなどで,更に複数の鉛バッテリーリサイクル施設が政府から認可を受け,そのうち1つの施設が稼働し始めていることがわかった。そこで,新たな施設を含む2つの鉛バッテリーリサイクル施設周辺の土壌について鉛含有量について調べたところ,いずれの施設も土壌中鉛濃度が高いことが分かった。 そこで2023年夏の調査では,これら2つの施設周辺の土壌試料の採取,および周辺遊牧民の乳製品試料の採取,乳製品食事量の調査を行った。土壌試料については,蛍光エックス線分析を用いておおよその鉛濃度の分布を調べたところ,いずれの施設周辺でも高濃度の箇所が見つかった。これらの施設の周辺では遊牧家畜が放牧されていることも確認した。遊牧民の乳製品食事量については,様々な方法で調べようとしたが,正確な記録を取ることが困難であり,今後も調査方法を検討する必要がある。
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