2019 Fiscal Year Research-status Report
河川懸濁物質の組成および同位体データベースを用いた表層崩壊検知システムの構築
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19K06343
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Research Institution | Tottori University of Environmental Studies |
Principal Investigator |
角野 貴信 公立鳥取環境大学, 環境学部, 准教授 (50511234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小嵐 淳 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究主幹 (30421697)
山本 敦史 公立鳥取環境大学, 環境学部, 准教授 (40332449)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 土壌侵食 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、河川中の懸濁物質及び溶存物質中に含まれる、粘土含量や有機物、金属イオン組成等からその上流域の表層崩壊を検知するシステムの構築を目的としている。2019年度は、河川水中の溶存物質の組成分析及び懸濁物質中の金属分析を行った。その結果、一部の支流において花崗岩に含まれる鉱物の影響からカルシウム含量の違いが顕著にみられた。これらの結果から、千代川流域中の一部の支流において平常時のカルシウムイオンの濃度をモニタリングすることにより、その上流域における降雨イベントや土砂災害イベントを検出できる可能性が示唆された。本研究で得られた知見の一部は、分担執筆した学部1・2年生向け教科書や土壌学初学者用の教科書中に反映させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年10月~12月にかけて河川から得られたのべ18試料に関して、懸濁物質中に含まれる金属含量を蛍光X線分光光度計を用いて測定したほか、溶存陰イオン、陽イオン含有量を高速イオンクロマトグラフィーにより測定した。他の地質と比較し、花崗岩地域である黒尾地点(上流)と用瀬地点(下流)でのカルシウムイオン濃度高いことがわかった。これは、宇丹谷川上流域の花崗岩地域の一部にカルシウムの多い鉱物が含まれており、雨水によって風化・溶解し、同じ河川でつながっている下流の地点で検出されたものと考えられる。以上の結果から、用瀬周辺の千代川において平常時のカルシウムイオンの濃度をモニタリングすることにより、その上流域における降雨イベントや土砂災害イベントを検出できる可能性が示唆された。一方、十分な懸濁物質量が得られなかったことから、有機物質の定量や組成を明らかにし、同位体データベースを作る当初の目的を達成するまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、採取頻度と共に、採取する試料の量を大幅に増加させることにより、より多くの懸濁物質を得られるよう工夫する。また、懸濁物質中に含まれる有機物含量や有機物組成を分析することにより、上記の支流以外で試料の組成に影響を及ぼす自然由来の土壌有機物の検出を行う。また、上記の支流において実際にカルシウムイオン濃度等のモニタリングを行い、即時的な土砂災害イベントが検知できるかどうか検証を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)当初の予定では、河川から得られた試料中の溶存物質だけでなく、濾過して得られた懸濁物質中に含まれる金属含量のほか、粘土含量や有機物組成を調べる予定であったが、既存の報告から予想された値よりもかなり固相重量が小さかったことから、懸濁物質に関して非破壊で測定可能な金属含量を半定量するなど、測定項目が予定より少なくなってしまったため。 (使用計画)電動ポンプによる採取を行うなど、河川から採取する水量を増加させる工夫を行い、試料中に含まれる懸濁物質の量を増加させることにより、粘土含量や有機物組成の定量に十分な試料を確保する。また、非常に少ない試料重量で測定可能な同位体測定法を試行するなど、検出濃度を下げる工夫を行う。また、国内外の研究会に参加し,情報のアップデートと研究成果の発表を行う。
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Research Products
(2 results)