2021 Fiscal Year Annual Research Report
カラスはディストレスコールのどの音響的特徴を忌避するか?鳴き真似から炙り出す
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19K06367
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
塚原 直樹 宇都宮大学, バイオサイエンス教育研究センター, 特任助教 (00712704)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | カラス / ディストレスコール / 鳴き声 / 鳴き真似 / playback実験 / 種差 / 地域差 / 季節性 |
Outline of Annual Research Achievements |
カラスが恐怖を感じた時に発するディストレスコールという鳴き声がある。ディストレスコールをスピーカーで再生すると忌避行動が誘発されることがわかっている。本研究では、複数種のカラスのディストレスコールや、ディストレスコールの音響的特徴を変化させた音声(デジタルでの加工や鳴き真似)を用意し、国内外の様々な地域や異なる種のカラスに聞かせ、忌避行動が誘発された音声とそれ以外を比較することで、忌避行動の誘発に重要な音響的特徴を炙り出すことを目指した。
今年度は以下の成果を得た。日本各地において、それぞれの地域のカラスにディストレスコールや警戒時に発する鳴き声を再生し、反応をモニタリングした。今年度は特に、再生する音声の周波数を変化させたり、長さを変える、ノイズを加減するなど音響的特徴を変化させ、どこまで反応が確認できるかを観察した。地域差や季節差、種差、個体差、テリトリーを持つかいなか、群れの構成などにより、反応が大きく異なることがわかった。また、異なる音響的特徴の音声を連続して再生する場合、順番も重要で、最初に音響的特徴の変化が少ない音声を再生し、警戒行動を引き出した場合には、その直後に音響的特徴の変化が大きな音声を再生しても警戒行動が維持されることがわかった。さらに、音響的特徴を大きく変化させた音声に対してはすぐに慣れが生じることがわかった。
これらの成果は、カラスによる農作物被害や市街地の糞害など、様々な被害現場での活用が期待される。実際にカラスによるごみ荒らし被害現場において実証試験を行ったところ、ある忌避音声を再生し、2箇月程度で慣れを確認した後、同じ忌避音声の周波数を変化させた音声を再生したところ、慣れの解消を確認し、また2箇月程度忌避効果を確認し、被害を軽減できた。
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Remarks |
関連研究について、テレビや新聞等のメディア出演が20件程度。
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Research Products
(16 results)