2021 Fiscal Year Annual Research Report
硫酸化ムチン結合性ビフィズス菌の腸管バリア機能に及ぼす影響と腸内定着機構の解析
Project/Area Number |
19K06374
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
向井 孝夫 北里大学, 獣医学部, 教授 (20229917)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ビフィズス菌 / 硫酸化ムチン / 結合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の当初の目的は、腸管バリア増強機能を有することが示唆されているムチン結合性ビフィズス菌の硫酸化糖鎖結合タンパク質を見出すことでバリア増強機能や腸内定着機構の一端を明らかにすることであった。複数のビフィズス菌種において生化学的手法では目的タンパクを取得することはできなかった。そこで硫酸化糖鎖にアフィニティーを有すると考えられるスルファターゼに着目した。先行研究においてBifidobacterium breveで見いだされた推定スルファターゼ遺伝子Xと複数の候補遺伝子が示されたが遺伝子Xが、B.breveの主要なスルファターゼであることが示された。また一点相同組換えで遺伝子Xの欠損株の取得に成功した(2019~2020年度)。最終年度ではB.breveの硫酸化糖代謝にかかわる遺伝子の同定を試みた。また乳児腸管ではB.breveとB.bifidum間で硫酸化糖を介した共生関係が示唆されているためこれを評価することこととした。 B.breveの硫酸化糖の取り込みや代謝産物と想定される硫化物イオンの排出にかかわる遺伝子をデータベースから検索した。その結果、それぞれの機能に関与すると推定される遺伝子AとBがスルファターゼ遺伝子の上流及び下流に見出された。そこでこれらの遺伝子の欠損株の作製を一点相同組み換えで試みたが目的の欠損株の取得に至らず、二点相同組み換えで欠損株の取得を試みている状況にある。一方、B.bifidumの硫酸化ムチン分解物のB.breveへの生育に及ぼす影響を評価したが、B.breve 野生株とスルファターゼ欠損株で増殖に有意な差はみられなかった。この要因としてB.bifidumによってムチンから遊離した硫酸化糖以外の糖が増殖に影響を及ぼしていることが推察された。今後、培養条件をさらに検討する必要がある。
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