2020 Fiscal Year Research-status Report
Risk assessment of Bovine Viral Diarrhea by animal movement and vaccination
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19K06377
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
磯田 典和 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (80615732)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 牛ウイルス性下痢 / 獣医疫学 / リスク評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度に実施できなかったらフィールドでの疫学調査実施について、新たな研究協力機関を2019年度に調整していたところ、2019年度末に研究協力機関の目途が立った。2020年度初めから先方との交渉を経て、現地にて大規模な牛群を用いたフィールド調査を企画していたが、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、先方での牛群での調査自体が実施困難となった。このため、2020年度に予定していフィールド調査の実施が中止となった。現在、実施予定だったフィールド調査を、約100農家を巻き込んで半年遅れで実施(2020年11月から2021年5月の期間)している。この疫学調査の結果を2021年度前半に受け取り、解析を進めていく予定である。 北海道庁から分与頂いた血清中の抗体データを用い、ワクチン接種された牛群における牛ウイルス性下痢(BVD)について評価を追加で行った。ワクチン接種を実施していない農家の99頭の抗BVDウイルス抗体を定量したところ、牛の月齢に相関して抗体保有率が増加していたことから、当該農家ではBVDウイルスの浸潤が疑われる結果となった。月齢別に群分けし、抗体陽性率の月齢増加に対する割合を用いて、抗体保有率の単純増加の割合を算出した。これが感染拡大と見なせることから、当該農家におけるBVDの自然増加の基本再生産数を算出したところ、1.76(95%信頼度: 1.29 - 2.42)となった。この値を用いて他のワクチン接種農家におけるBVDウイルス自然感染のリスクを評価したが、抗体上昇率は自然感染によるものではないと判断できた。現在、こちらの成績をまとめ、論文投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2019年度に予定していた野外調査実施については、当初研究協力機関との調整が困難となったため、2019年度終了時に代替の研究協力機関と交渉を進めていた。しかし新型コロナウイルス感染拡大のため、2020年度実施を予定していたフィールド調査が一時中止となり、現在は半年ほど遅れて実施を開始している。当初の研究計画から1年ほど遅れている状況である。 しかし、当初の計画では2回に分けてフィールド調査を予定していたが、先方の協力により大規模なスケールでフィールド調査が実施可能なため、動物移動元毎によるPI牛導入リスクの定量(実験3)および集団免疫がBVDリスク導入に与える影響の確認(実験4)の内容については、当初計画を変更した上で2021年度に実施予定である。 最終的に樹立を目指している、日本の畜産形態を反映したBVD疫学モデルについては、今年度中の実施は困難だと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
年度当初は実験1と実験2を実施する予定ではあったが、新型コロナウイルス感染の拡大により、フィールドにおける疫学調査の実施が中止となったため、大幅な研究計画の遅延が発生している。 現在のところ、2021年度に実験1のみならず実験3と実験4についても実施する方向で先方との調整を進めている。今後の新型コロナウイルス感染による影響が心配ではあるが、今年度中にフィールドにおける疫学調査の結果を完成させて、今年度末から来年度にかけて、日本の畜産実態を反映したBVD疫学モデルの樹立(実験5)の実施に取り組みたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大のため、2020年度に実施予定していたフィールド調査が実施できなかったため、それに関わる予算執行が大幅に控えられた。2020年度末から疫学調査実施を行っているため、それに関わる物品費の執行を進めており、2021年度も物品購入を進める。 2021年度は協力機関への研究打ち合わせを1ないし2回予定しておりそのための旅費の支出は計画している。また論文投稿を検討しており、その他の項目で計上している金額の支出も当初予定とは金額の変更を行ったうえで検討をしている。
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