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2021 Fiscal Year Research-status Report

血友病発症犬におけるフコイダンの血小板及び凝固活性化を介した出血抑制機序の解明

Research Project

Project/Area Number 19K06381
Research InstitutionGifu University

Principal Investigator

鬼頭 克也  岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (80270974)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2023-03-31
Keywordsフコイダン / 血小板凝集 / 血小板膜ホスファチジルセリン / 血小板由来マイクロパーティクル / オキナワモズク / イヌ
Outline of Annual Research Achievements

オキナワモズク由来フコイダンは犬の血小板を活性化(凝集)するとともに,血液凝固因子の欠損による先天性血友病を罹患した犬の自然出血を抑制することを,先行研究で明らかにした。しかし,血小板の活性化と自然出血の抑制との関連は明らかではない。これまでにフコイダン(分子量30万,5万)はチロシンキナーゼ依存性経路ならびにG蛋白共役受容体を介した経路で犬の血小板を凝集することを解明した。生体内では,血小板と血液凝固因子が密接に連携して止血機能を担うと考えられているので,今回は、フコイダンにより活性化した血小板が血液凝固能の促進に関わる機序について検討した。
オキナワモズク由来の分子量30万のフコイダンを用いて,3種類の濃度(50,20,10 μg/mL)で血小板を刺激した。血小板の血液凝固能への関与は,フローサイトメトリー法を用いて,血小板膜外側へのホスファチジルセリン(PS)の表出と血小板からの血小板由来マイクロパーティクル(PDMPs)の放出を測定することで評価した。また,血小板の活性化はP-selectin発現率により確認した。血小板活性化の陽性対照にはコラーゲン(2.5 μg/mL)を,陰性対照にはPBSを用いた。血小板をフコイダンで刺激すると濃度に依存してP-selectin発現率は上昇した。アネキシンV陽性率で示すPSの表出は,50 μg/mLのフコイダンで刺激した時が最も高く,濃度を下げると有意に低下した。PDMPsの放出も50 μg/mLのフコイダンで刺激した場合が最も高かった。
以上の結果から,犬の血小板をフコイダンで刺激すると,血小板は活性化してP-selectinを発現し,血小板膜外側にPSが表出して血液凝固反応の足場を形成すること,同時にPDMPsが放出されることで血小板周囲の凝固促進活性が高まることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

血小板の凝集機序に関する研究報告の大多数は,ヒトやマウスの血小板を用いて行われており,犬の血小板を用いた報告は少ない。本研究課題は,ヒトやマウスの血小板と犬の血小板が基本的に同じ機構で活性化するとの仮説のもとで,ヒトやマウスでの研究手法を応用して,フコイダンによる犬の血小板活性化機構の解明ならびに血液凝固能との連関性の解明を目指したものである。しかし,ヒトやマウスで用いられてきた抗体等の試薬あるいは手法の多くが,犬には応用できないことが分かった。したがって,犬の血小板活性化機構やその受容体を解明するためには,また,血液凝固能との連関性を検討するためには,今後,さまざまな試薬あるいは手法を検討していかなければならない。
なお,新型コロナウイルス感染拡大による研究室での活動の制限,海外からの試薬調達など物流の停滞も現在の進捗状況に影響した。また,血友病に罹患した犬3頭を対象にin vivo試験を実施してきたが,それぞれ肝臓(胆のう破裂),腎臓(腎不全),外傷性脳内出血により死亡したため,in vivo試験は中断している。

Strategy for Future Research Activity

引き続きフコイダンを認識する血小板受容体を同定することを目的に,GPVI,CLEC-2だけでなくGP1Bα受容体,G蛋白共役受容体も対象にして検討を進める。また,フコイダンの分子量,濃度ならびにフコイダンの硫酸化度の違いによって,血小板凝集の機序が異なるか否かの検討を行う予定である。
今回,フローサイトメトリー法を用いて,フコイダンによる血小板膜外側へのホスファチジルセリン(PS)の表出と血小板からの血小板由来マイクロパーティクル(PDMPs)の放出を確認することができたので,今後は,PSやPDMPsが凝固因子の活性化とそれに伴い血液凝固機能を亢進することを検討し,活性化血小板による凝固能促進(プロコアグラント活性)を評価する。
さらに,フコイダンは血小板を活性化するだけでなく,組織因子経路阻害因子(TFPI)の阻害により向凝固能の亢進(トロンビン産生の亢進による出血抑制機能)を発揮することが示唆されているので,血小板由来のTFPIがこれに関与しているか検索する手法を構築することを目指す。

Causes of Carryover

新型コロナウイルス感染症の拡大による研究室での活動の制限により,研究を停止せざるを得なかったためである。
また,フコイダンによる犬の血小板シグナル伝達機構の解明およびフローサイトメトリー法よる血小板活性化評価法に必要な試薬,手法等の見直しのため,それに係る予算の一部を次年度に繰り越した。その残金は当該機序を解明するために使用する予定である。

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Published: 2022-12-28  

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