2019 Fiscal Year Research-status Report
ファージワクチンの免疫応答誘導メカニズムの解明とB細胞移入療法への応用の試み
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19K06386
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
橋口 周平 鹿児島大学, 理工学域工学系, 助教 (40295275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩野 英知 酪農学園大学, 獣医学群, 教授 (60382488)
村上 明一 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00733635)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ファージ / バクテリオファージ / ワクチン / 抗体 / ファージワクチン / ファージ療法 / ファージセラピー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、M13ファージに対する免疫応答誘導のメカニズムを解明することを目的として、本年度は、マクロファージに対して枯渇作用を示すことが知られているクロドロン酸内包リポソームをC57BL/6マウスに投与し、マクロファージの割合をフローサイトメトリー解析後、M13ファージに対する抗体応答を解析した。クロドロン酸内包リポソームの腹腔内投与から24時間後に腹腔細胞および脾臓細胞を回収しフローサイトメトリー解析を行った結果、腹腔細胞および脾臓細胞においてCD11b+F4/80+細胞の顕著な減少が認められた。クロドロン酸内包リポソームを投与したC57BL/6マウスを、M13ファージの腹腔内投与により免疫し、14日目の血清中のファージ特異的IgG抗体価を解析した。その結果、コントロール群のマウスと同等のIgG抗体価が認められた。M13ファージに対する一次応答では顕著なIgG2a/cおよびIgG2bクラスの抗体、ならびにIgG3抗体が血清中に認められるが、マクロファージの枯渇化によるIgGサブクラス応答への影響を解析した結果、誘導されるIgGサブクラスに大きな変動は認められなかった。これまでに腹腔内投与したM13ファージは腹腔マクロファージにより捕捉されていることを観察しているが、マクロファージによるファージの認識はM13ファージに対する免疫応答に寄与していない可能性が示唆された。M13ファージ免疫におけるマクロファージの働きについては、ファージ免疫におけるTLR9の役割とともに今後も引き続き検証していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画の通り、マクロファージを減少させたマウスでの抗体応答の解析を行い、M13ファージに対するIgG抗体応答の誘導にはマクロファージは寄与していない可能性を示唆するデータを得た。この結果は、樹状細胞を含め好中球など自然免疫に関係する細胞が関与する可能性を示唆するものであり、引き続き検討を進めている。また、M13ファージとは形態が異なるファージを用いた免疫応答解析、TLR9のIgGサブクラス応答への寄与についてもすでに材料の準備が整っており、計画通り次年度から解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、M13ファージに対するIgGサブクラス応答におけるTLR9の機能についてTLR9ノックアウトマウスを用いて解析するとともに、M13ファージ免疫における抗原提示細胞の同定についても引き続き検討する予定である。また、緑膿菌、黄色ブドウ球菌を対象に環境中から単離した溶菌性ファージを用いてマウスにおける免疫応答を解析し、免疫するファージの形態の違いによる免疫応答への影響、ファージ療法における免疫応答の影響等についても検討する計画である。
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Causes of Carryover |
本年度末から開始予定の実験で使用する試薬の納品に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。材料が揃い次第、研究を推進する予定である。
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