2019 Fiscal Year Research-status Report
細菌の外膜小胞を利用した新機軸のニワトリ用ワクチンの開発
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19K06388
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
谷 浩行 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00305658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡村 雅史 北里大学, 獣医学部, 准教授 (70374775)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ニワトリ用ワクチン / 大腸菌外膜小胞 / サルモネラ |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、内腔に組換えタンパク質を発現するOMVの作出と検証を行った。組換えタンパク質を大腸菌外膜内側に固定・発現するアンカータンパク質として、大腸菌リポタンパク質(Lpp)、およびLppに大腸菌主要外膜タンパク質(OmpA)の46-88、46-132、あるいは46-174アミノ酸残基を連結した4種の発現プラスミドベクターを構築した。これらを大腸菌に挿入したところ、Lppに46-132、46-174アミノ酸残基を連結した発現プラスミドベクター(それぞれlpp-ompA46-132、およびlpp-ompA46-174)を挿入した形質転換体において、大腸菌外膜内側にタグタンパク質の発現が確認された。これら発現プラスミドベクターに、Salmonella Enteritidis(SE)のワクチン候補抗原タンパク質をコードする遺伝子配列を挿入したところ、同様に大腸菌外膜内側にそれら組換えタンパク質の発現が確認された。 ウイルスの抽出精製方法であるPEG沈殿法に改良を加えたOMVの精製法を用いて、大腸菌からのOMVの放出促進法について検討した。lpp-ompA46-132、およびlpp-ompA46-174の形質転換体を用いて、ポリミキシンB、ホスホマイシン、シプロフロキサシン、ゲンタマイシンの4種の抗生物質を作用させ比較したところ、lpp-ompA46-174においてポリミキシンB の添加により有意に収量が増加した(p<0.05)。SEワクチン候補抗原タンパク質をコードする遺伝子配列を挿入したlpp-ompA46-174からOMVを精製し、その性状について検討したところ、大きさ約10~200 nmのOMVが確認され、内腔に組換えタンパク質の発現が確認された。 以上のことから、内腔にSEワクチン候補抗原タンパク質を発現する大腸菌OMVを作出する手法を開発することが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に開発した手法は、既存の報告から比較して収量が低いため、さらなるOMVの放出促進法の検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究成果に加え、さらなるOMVの放出促進法を検討するとともに、ゲノム編集によりOMVを多量に放出する大腸菌の作出も試みる。社会情勢にもよるが2020年度中にニワトリへの免疫賦活効果の検証に着手したい。
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Causes of Carryover |
2020年度以降に予定している感染実験の動物購入・飼育費用を少しでも補うため。
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