2021 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ子宮に発現するクロモグラニン Aの生理的役割の解明と低受胎診断への適用
Project/Area Number |
19K06396
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
高橋 透 岩手大学, 農学部, 教授 (20355738)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | クロモグラニンA / ウシ / 子宮 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、下記の3項目について研究を行なった。 実験1:岩手県滝沢市の3酪農場において,経直腸超音波検査にて機能性黄体を有することが確認された経産牛を供試した.定時授精プログラムの開始時 (PGF2α投与時) に子宮灌流液を回収し,ウエスタンブロッティングにてCgAの発現を解析した.その後の受胎成績を追跡し,受胎群と不受胎群でCgAの発現量を比較した.実験2:CgAの組換えタンパク質 (rCgA) を,屠畜場から採材した子宮内に注入または初代ウシ子宮内膜上皮細胞 (BEEC) の培地中に添加し,インキュベートした.子宮内腔液および培地を経時的に回収し,ウエスタンブロッティング解析によりCgAの分解を検証した.実験3:黒毛和種未経産牛4頭の子宮から単離したBEECの培地中にrCgAを添加し,リアルタイムPCRにより免疫調節,血管新生,糖代謝などに関わる13種類の遺伝子発現量を測定した.その結果,実験1では子宮灌流液中に,完全長CgAと考えられる71 kDaのバンドに加え,CgAフラグメントである32 kDaのバンドが確認された.不受胎群では,受胎群に比べ71 kDaの発現量および71 kDa/32 kDa比が高い傾向であった (P < 0.10) .実験2ではrCgAは,子宮内およびBEECの培地中において様々なフラグメントに分解された.その中には子宮灌流液で検出された32 kDaのフラグメントと一致するものが存在し,抗菌活性を示す領域を含むフラグメントも確認された.実験3ではBEECへのrCgAの添加は,炎症性サイトカインであるIL-6,IL-8およびCXCL5発現量を増加させた (P < 0.01) .特に,好中球の遊走を刺激するCXCL5の発現が強く促進された.
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