2019 Fiscal Year Research-status Report
ベトナムの家禽におけるニューカッスル病ウイルスの浸淫状況および抗体保有状況の調査
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19K06402
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
曽田 公輔 鳥取大学, 農学部, 講師 (00582983)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ニューカッスル病 / ベトナム / 家禽 |
Outline of Annual Research Achievements |
ベトナムの家禽における鳥インフルエンザウイルスサーベイランスにおいて、インフルエンザウイルスでは無い病原体が2018年3月までに計57株分離された。これら分離株のうち1株が赤血球凝集阻止反応(HI試験)を用いた同定法によりニューカッスル病ウイルス(NDV/duck/Vietnam/LBM879/2016; LBM879株)と判明した。 LBM879株の全長遺伝子配列を次世代シーケンスにより解読した。遺伝子解析の結果、本株はClass Ⅰ;Genotype 1bに属し、中国の家禽分離株と最も近縁であった。本結果から、鳥インフルエンザウイルスに加えて、ニューカッスル病ウイルスも中国とベトナムで同じ流行圏を形成していることが明らかとなった。ニューカッスル病ウイルスの病原性に関与するFタンパク質の開裂部位アミノ酸配列は、LBM879株では弱毒型配列であった。本株を1週齢のアヒルに接種し病原性を調べたところ、アヒルはウイルスに感染したものの、体内におけるウイルス増殖は限定的で、10日間無症状で生残した。病原性の弱い本株のようなニューカッスル病ウイルスがベトナムおよび周辺国の家禽で維持されていると考えられる。 LBM879株の不活化抗原を作製し、ベトナムの家禽の本株に対する抗体保有状況を現在まで継続的に調べている。2013年10月~2017年3月にハノイの家禽から採材した血清600検体を用いて検討したところ、抗体保有個体は11検体にとどまった。本結果から、ニューカッスル病ウイルスは鳥インフルエンザウイルスと比較して、ベトナムの家禽における浸潤度は低いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は主に分離されたニューカッスル病ウイルスの遺伝子解析を主として研究を展開していく予定であった。分離株は1株にとどまったものの、本株の全長遺伝子配列の決定および系統解析等の実施を完了し、概ね当初の目的を達成したと評価できる。また、並行して行う予定であった、病原性解析および抗体保有調査も研究実績の項内の記載通り、着実に結果が出ている状況である。加えて、今後は分離株の抗原性解析を本格化する意向であるが、すでに本研究に必要な分離株の免疫血清の作出も完了しており、すぐに事業2年目における結果出しへつなげられる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に分離されたLBM879株、および本株を用いて作製した抗体などのツールを用いて、主に抗原性解析、抗体保有調査、鶏を用いた病原性試験を展開していく。加えて、本事業申請の時点からさらに、ベトナムにおける鳥インフルエンザウイルスサーベイランスにおいて、非インフルエンザウイルスが2019年3月までに68株見出されている、これらのウイルスの当地のベトナムから日本への輸入手続きを進め、ニューカッスル病ウイルスが含まれているか否かについて検討を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、学内における研究活動に割ける時間が特に当該年度の3月に制約され、予定使用額の全額の消化に至らなかった。一方で、次年度交付額全体に対する繰越額の割合は低く、予定通り事業2年目の研究活動を行っていく予定である。
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Research Products
(1 results)