2020 Fiscal Year Research-status Report
Role of MARCKS protein on developmental neurotoxicity of toxic metals
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19K06404
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
白石 光也 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 教授 (20383656)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | SH-SY5Y / 分化誘導 / メチル水銀 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、分化過程にある神経細胞へのメチル水銀毒性およびMARCKSタンパク質の関与を評価するため、ヒト神経芽細胞腫由来の培養神経細胞株であるSH-SY5Y細胞を用いた発達神経細胞モデルの作成と評価を実施した。SH-SY5Y細胞の分化誘導刺激として前年度に使用したレチノイン酸に加えて脳由来神経栄養因子、dibutyryl-cAMPおよび神経細胞専用培地を使用した。分化誘導から21日後の細胞形態を位相差顕微鏡で観察したところ、高度に発達した神経突起の形成が確認できた。また、Western blotting法により成熟神経細胞マーカータンパク質であるGAP-43、MAP2、Synaptophysin、betaIII-Tublin発現量を検討したところ、分化誘導細胞において各タンパク質の発現量増加が認められた。一方、MARCKSタンパク質については、発現量の低下が認めれらた。以上の結果から、レチノイン酸を含む複数の分化誘導刺激によりSH-SY5Y細胞が高度に発達および成熟した神経細胞に分化しており、発達および成熟神経細胞のin vitroモデルとして有用であると考えられた。 本モデルにおいて、メチル水銀刺激によるMARCKS発現量およびリン酸化への影響を検討したところ、神経突起の減少に伴うMARCKS発現量の減少およびリン酸化の上昇傾向が認められた。また、MARCKSの新規リン酸化部位特異的抗体を作成しその特異性の検討を実施したが、良好な結果は得られなかった。そこで、Phos-tagを用いた実験手法によりMARCKSリン酸化の変化と特徴について解析を実施するため、基礎的検討を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MARCKSの新規リン酸化部位特異的抗体を作成したがその特異性の検討に当初予定より大幅に時間を要したこと、また、実験動物を用いた検討事項の着手が遅れていることから、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
特に、モデル動物を用いた実験項目についてその準備および実施が遅れており、これらの実験項目について検討を進める。また、実験計画書の「当初計画通りに進まない場合の対応について」に記載の通り、良好な結果が得られなかったMARCKSの新規リン酸化部位特異的抗体に変わり、Phos-tagを用いた実験手法によりMARCKSリン酸化の変化と特徴について解析する。また、2019-2020年度において作成した分化誘導神経細胞を用いて、実験計画に従い検討を実施する。
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Causes of Carryover |
2020年度の実験計画の内、特に実験動物を用いる実験項目について遅れがあり、これに関連する経費が次年度使用額が生じた主な理由である。これを含め2020年度に実施ができなかった項目については今年度に実施する予定であり、これらの実験項目における物品費として主に使用予定である。
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