2019 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of genetic characters relating to transmissibility and pathogenesis in bovine leukemia virus wild-type strains
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19K06410
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
村上 裕信 麻布大学, 獣医学部, 講師 (60620929)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 牛白血病ウイルス / ウイルス株 / 伝播性 / 病原性 / 感染性分子クローン |
Outline of Annual Research Achievements |
牛白血病ウイルス(BLV)の感染率は国内で3~4割と高く、今後も地方病性牛白血病の発生の増加が懸念されている。過去の我々の研究から、BLVゲノムのわずかな変異がウイルス性状を大きく変化させ、伝播性や病原性を変化させることが分かってきた。そこで、本研究では、伝播性および病原性に関連するウイルスゲノムの遺伝的特徴を探索した。伝播性に関連する遺伝的特徴を明らかとするために、1農場で飼養されている全てのBLV感染牛から分離したウイルスのゲノム配列を調べた。その結果、伝播性に関与するウイルス産生能力が高い株と低い株で複数の遺伝的特徴が認められた。次に、ウイルス産生能力の異なる2株を用いてウイルスの各領域を組換えたキメラウイルスおよび点変異導入株を解析した結果、175番目の塩基がC(175C株)およびT(175T株)であると、それぞれ高および低ウイルス産生株であることが明らかとなり、ネットワーク解析から175C株が高伝播性株であることが示唆された。一方、この塩基置換とウイルスの病原性に相関が得られなかったことから、病原性に関与する遺伝的特徴は異なると考えられた。そこで、高病原性株の遺伝的特徴を調べるため、115株の遺伝的特徴を解析した。しかし、高病原性株で共通して認められる変異は認められなかった。詳細な解析を行うため、病原性の異なる株から各領域を組換えたキメラウイルスを作出し、病原性を評価した結果、gag-pro-polおよびmiRNA領域の組換えが病原性に影響をもたらした。しかし、miRNAコード領域を含むpX領域の組換えでは病原性が変化しない株やgag-pro-pol領域欠損株でも高い病原性を示す株が存在することから、病原性に関与する領域は少なくとも2領域存在することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
伝播性に関与する変異を明らかにすることができたため、今後の診断への応用が期待される。一方、病原性に関与する変異の特定には至っていないが、これまで病原性に関与すると考えられてこなかったgag-pro-pol領域が病原性に関与することを見出したため、今後の発症機構解明に有用な知見を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
伝播性に関与する175番目の変異によりどの株であってもウイルス産生量が変化するのかを解析する。また、変化しない場合は伝播性に関与する他の変異や遺伝的特徴を探索し、伝播性に関与する変異が複数あるのかを調べる。病原性に関与する領域が絞り込めたことから、各領域を更に組換えたキメラウイルスを複数の株で作出し、その責任領域および変異を明らかとする。また、低病原性株と比較して高病原性株で有意に変化する宿主遺伝子群を明らかとしたため、それら遺伝子発現量を指標とした病原性評価も検討する。このことにより、病原性解析にかかる時間を短縮し、病原性に関与する遺伝的特徴の特定に関する研究を推進する。
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Research Products
(9 results)