2021 Fiscal Year Annual Research Report
イヌの新規グルココルチコイド受容体スプライシングバリアントの探索と機能解析
Project/Area Number |
19K06412
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
松田 彬 岡山理科大学, 獣医学部, 准教授 (90613969)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | グルココルチコイド / グルココルチコイド受容体 / スプライシングバリアント / 薬剤耐性 / イヌ |
Outline of Annual Research Achievements |
グルココルチコイドは古くから使用されている薬剤で抗炎症効果、免疫抑制効果、抗腫瘍効果などを持つが、長期間の使用では重大な副作用が発現するリスクがある。そのため、薬効を保ったままでの減薬を可能にする「グルココルチコイド感受性増強法」の開発が望まれている。グルココルチコイド受容体(GR)のスプライシングバリアント発現比は細胞のグルココルチコイド感受性に関与しており、ヒトでは少なくとも5種類のスプライシングバリアントが存在する。一方イヌではその存在は不明であるため、本研究ではイヌGRスプライシングバリアントの存在および機能について検証することを目的とする。 本研究ではマウスのGRスプライシングバリアントにヒントを得てプライマー設計を行い、イヌにおいて7種類の新規GRスプライシングバリアントが存在することをmRNAレベルで確認した。そのうち5種類については蛋白質レベルでも存在を確認することに成功した。さらに、そのうち2種類については過剰発現させることで細胞のグルココルチコイド感受性が低下することを確認した。このことから、イヌにおいてGRスプライシングバリアントは複数種類存在し、そのうちのいくつかは細胞のグルココルチコイド感受性に関与していることが明らかになった。 本研究成果はこれまでに発見されていなかったイヌのGRスプライシングバリアントを発見したという意味で比較生物学的に重要な発見といえる。さらに本研究成果を利用することでイヌの様々な疾患におけるグルココルチコイド感受性増強法の開発が進む可能性がある。
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