2021 Fiscal Year Research-status Report
希少野生ツルに病原性を示すヘルペスウイルスの性状解析および流行状況把握
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19K06424
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
藤本 佳万 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (20613631)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ヘルペスウイルス / 野生ツル |
Outline of Annual Research Achievements |
ツルヘルペスウイルスはツル類に病原性を示すと考えられているが、家禽に対する感受性や病原性は明らかにされていない。そこで、アヒル胚およびニワトリ胚を用いて、分離したツルヘルペスウイルスの感染試験を実施した。ウイルス接種したアヒル胚では、接種経路(尿膜腔内接種および卵黄嚢内接種)を問わず多くの胚(12例中9例以上)が死亡した。死亡アヒル胚には、特に脳を含む全身性出血、胚の矮小化、心嚢水の貯留、肝臓の表面粗造および壊死巣の密発といった肉眼病変を認めた。一方、ニワトリ胚では、ツルヘルペスウイルスを尿膜腔内接種した全6例は実験終了まで死亡せず、内臓病変も認められなかった。しかし、卵黄嚢内接種では、12例中10例以上のニワトリ胚が死亡し、死亡胚には全身性出血、脳の軟化および肝臓壊死等の肉眼病変を認めた。また、死亡したアヒル胚およびニワトリ胚の脳および肝臓乳剤において、高ウイルス力価が認められた。 これまでの研究報告において、ツルヘルペスウイルスは幼雛鶏およびニワトリ胚には感受性を示さないと結論付けられている。しかし、本研究ではニワトリ胚の多くがツルヘルペスウイルスに致死的感染し、脳や肝臓において効率良いウイルス増殖がみられたことから、ニワトリに対してツルヘルペスウイルスが高い感受性を有する事を示唆する結果が得られた。ニワトリに対するツルヘルペスウイルスの病原性を正確に評価するためには、今後本研究で分離されたウイルス株を用いた成鶏に対する実験的感染試験が必要と考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に実施したショートリード次世代シークエンス結果を詳細に解析したところ、ウイルスゲノムの一部配列が正確に読まれていない可能性が考えられた。そのため、再度ゲノム解析が必要となったため、本進捗区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
ロングリード次世代シークエンス解析を実施し、正確なウイルスゲノムの解明を試みる。
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Causes of Carryover |
追加実験の必要性がでてきたが、年度内に実験を実施することが出来なかった。そのため、翌年度に実施する実験費用として次年度使用額が生じた。
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