2021 Fiscal Year Annual Research Report
基底膜IV型コラーゲンα1鎖分解断片arrestenの心臓における役割
Project/Area Number |
19K06428
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
岡田 宗善 北里大学, 獣医学部, 准教授 (30453509)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | Extracellular matrix / Arresten / 心筋細胞 / 心線維芽細胞 / 心房筋 / 心肥大 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はIV型コラーゲンα1鎖C末端断片arrestenの心臓における病態生理学的役割を解明することを目的とし、各種心臓構成細胞(ラット心線維芽細胞および心筋細胞; in vitro)、マウス摘出心房筋標本(ex vivo)およびangiotensin II (AngII)誘発高血圧症モデルラット(in vivo)を用いて検討を行った。本研究期間における実績の概要は以下の通りである。 (A)大腸菌発現系を用いてリコンビナントラットarrestenタンパク質を作製し、各種実験に用いた。(B) Arrestenがラット単離心線維芽細胞において遊走能およびmatrix metalloproteinase-9分泌を亢進することを明らかにした。(C)ラット新生仔心筋細胞においてarrestenは酸化ストレス誘導性細胞死に影響を及ぼさなかった。(D)ラット新生仔心筋細胞においてarrestenはisoproterenol誘導性細胞肥大には影響を及ぼさないが、AngII誘導性細胞肥大を増強することを明らかにした。(E)ラット成体の単離心室筋細胞においてarrestenの単独処置およびAngIIとの共処置どちらも電位依存性カルシウムイオンチャネル活性(パッチクランプ法により測定)に影響を及ぼさなかった。(F) Arrestenがマウス摘出左心房筋標本において収縮力増強作用を示す一方、摘出右心房筋標本において拍動数(自動能)を低下させる傾向を示すことを明らかにした。(G) AngII誘発高血圧症モデルラットの肥大化した左心室組織においてarresten発現が増加する傾向が認められた。なお本年度は(C), (D)の一部(AngII誘導性肥大)および(G)の成果を国内学会で発表した。 以上の結果から、arrestenが心臓において様々な作用を示す内因性生理活性物質であることが示唆された。本研究成果をもとに更なる検討を行うことにより、arrestenが心疾患治療戦略の新規標的因子となることが期待される。
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Research Products
(3 results)