2021 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ肝類洞構成細胞株の協働による肝機能向上機序の解明
Project/Area Number |
19K06431
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
吉岡 都 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, 室長 (80355198)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 牛 / 肝実質細胞 / 非実質細胞 / 肝臓 / 共培養 / 肝機能 / メタボローム解析 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
肝臓は、代謝の場である肝実質細胞と近隣の非実質細胞の相互作用により、種々の代謝調整を行っている。本研究では、ウシ肝臓由来肝臓細胞の肝実質細胞株と非実質細胞株の共培養による肝臓機能向上の機序を解明することを目的としている。昨年度までに、ウシ由来肝実質細胞株の共培養において、急性期蛋白であるSerum amyloid AおよびHaptoglobinのmRNA発現の増強は、BH4細胞とB46細胞の組み合わせが最適であること、共培養における急性期蛋白遺伝子発現の増強には、非実質細胞から分泌される液性因子の関与と、細胞同士の接触による機能向上が関与する可能性を示唆した。最終年度は、共培養による肝機能向上に関与する液性因子等の検索を行ったところ、BH4細胞とB46細胞の共培養における急性期蛋白合成能の向上には、B46細胞から分泌される炎症性サイトカインのIL-6とIL-1bの関与が示唆された。また、培養細胞内の代謝酵素および代謝産物のメタボローム解析によって単独培養と共培養における差異に関わる代謝様態を解析した結果、複数の代謝経路でLPS刺激によって代謝産物が増加していることが確認された。代表例として、解糖系ではFructoce-6-phosphate、3-Phosphogulyceric acid、2-Phosphgulyceric acid、PhosphoenolpyruvateおよびPyruvateの上昇が、TCA回路ではcis-Aconitic acid、Isocitric acid、FumarateおよびMalateの上昇が認められた。また、プリオンヌクレオチド合成経路では核酸合成の促進因子であるPhosphoribosyl pyrophosphateが増加していた。これらのことから、共培養系ではATP産生が増加し、エネルギー代謝や核酸合成が亢進していると考えられた。
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