2021 Fiscal Year Annual Research Report
細胞の運命変換による膵内分泌組織の新規発生機序の解明
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19K06435
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
佐藤 隆史 群馬大学, 生体調節研究所, 准教授 (70344934)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膵ポリペプチド細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
膵ポリペプチド(PP)を分泌するγ細胞は、膵組ランゲルハンス島の5%を占める内分泌細胞である。本細胞種が産生するPPの生理的役割やその分泌制御などの仕組みについては未だ不明の点が多い。その中で我々のグループは、PPを特異的に認識するモノクローナル抗体やPPをコードするPpy遺伝子の欠損マウスなどを用いた解析から、分化可塑性をはじめとした他の膵内分泌細胞と異なるユニークな性状を見出してきた。そこで、本研究課題では研究代表者が一貫して行ってきたマウス遺伝学的な手法により、PPをコードするPpy遺伝子を発現する細胞の可視化や単離を可能にするノックインマウスを複数作製し、このPpy遺伝子の発現と内分泌細胞機能を関連付ける分子機序の解明を目的とした研究を進めてきた。まず本研究では、Ppy-Cloverマウスの作製によりPpy遺伝子を発現する細胞を蛍光蛋白質により可視化することが可能となっており、このマウスから単離したラ氏島から分離精製した細胞を用いて、PPの分泌を誘導する因子の同定に成功し、そのシグナル伝達機序の一端の解明に成功した(論文投稿中)。更に本研究で作製したPpyCreERマウスを用いた解析では、Ppyの発現が出生後のより早い時期に他の内分泌細胞種に分化すること、ある種の糖尿病モデルのβ細胞や、内分泌細胞の異常増殖によりPpyの発現は誘導されることも分かってきた。これらのことから、Ppyの発現は内分泌細胞の成熟過程や組織内の位置情報に従って制御され、同遺伝子の発現誘導と膵内分泌細胞の分化可塑性との間には密接な関連があると推察される。これらの知見は今後、生体内環境の変化や特定の代謝的病態に応じた膵内分泌細胞の機能制御の分子基盤解明の糸口になると期待される。
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Research Products
(1 results)