2020 Fiscal Year Research-status Report
ダイナミックな精子形成能を持つ生殖細胞特異的結合因子KIAA1210の機能解析
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19K06440
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩森 督子 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(RPD) (10711509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加納 聖 山口大学, 共同獣医学部, 教授 (40312516)
岩森 巨樹 九州大学, 農学研究院, 准教授 (70647362)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生殖細胞間架橋 / KIAA1210 / ノックアウトマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
精巣では生殖細胞間架橋Intercellular bridge(ICB)が生殖細胞を結合しており、欠損すると雄性不妊になる。ICBは一連の生殖細胞同調化のため細胞間情報伝達に機能すると予想されるが未明である。精巣にはICBの他にセルトリ細胞間密着結合Blood-testis barrier(BTB)、セルトリ細胞間およびセルトリ細胞―伸長期精細胞間の接着装置Ectoplasmic Specialization(ES)などの細胞間結合があり、いずれも精子形成に必要不可欠である。これら細胞間結合の連携なくして精子形成を説明することは難しい。そこで、本研究では我々が同定したESやICBなど複数部位に局在するKIAA1210のノックアウトマウス(KO)を作製し、野生型マウス(WT)の精巣と比較解析を行った。表現型やタンパク質の発現・局在変化からKIAA1210の機能やICBを含む細胞間結合の精子形成における新たな可能性が示唆された。さらに、KIAA1210-KOとWT精巣タンパク質や、KIAA1210に対する抗体による免疫沈降物のプロテオミクス解析を行い、新たに得られた新規遺伝子の抗体作製とノックアウトマウス作製を開始した。また、異なる細胞間結合の関連性を可視化解析するために多重カラートランスジェニックマウス(multi-cTG)の作製を開始した。精細管の動的解析を最終目的に、遺伝子産物と蛍光タンパク質を融合発現するノックインマウスの作製を目指している。CRISPR/Cas9システムを受精卵に用いる方法を樹立し、ノックインマウスの誕生を目指している。研究成果は不妊原因解明や妊孕性診断など医療の他、家畜の繁殖や野生動物の維持など広く応用されることが期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響下で研究ができない期間があったが、データ解析や論文検索など机上でできることを在宅で行い、実験開始後に活かせたことにより研究は概ね良好に進展している。トランスジェニックマウス作製に関しては一時中断や規模縮小を行なったが、作製方法を変更したことにより最終的には効率改善につながることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
1)生殖細胞間架橋関連遺伝子KIAA1210のノックアウトマウスと野生型マウスの精巣における表現型の違いや遺伝子産物の局在変化をより詳細に解析し、KIAA1210の関わる現象のメカニズムを探求する。また、成果報告として学会発表および論文投稿を目指す。 2)KIAA1210のノックアウトマウスと野生型マウスの精巣タンパク質のプロテオミクスおよびKIAA1210に対する抗体を用いた免疫沈降プロテオミクス解析の結果から、細胞間結合を構成する候補となる新規遺伝子を選択し、抗体作製、ノックアウトマウス作製を開始している。抗体入手順にタンパク質局在解析、動物作製順に表現型解析を開始する。 3)マルチカラートランスジェニックマウスを作製すべく、CRISPR/Cas9システムを用いて蛍光タンパク質をノックインしたES細胞を作製した。 当初はこのES細胞を用いてマウスを作製する計画であったが、キメラマウスを介して作製しなければならず、技術を要し、非常に時間がかかり、実験規模(飼育規模)も大きくなるため、CRISPR/Cas9システムを受精卵に用いて直接ノックインする方法に切り替えて作製を試みている。 CRISPR/Cas9 システムを受精卵に用いる最良の方法を樹立し、本年度中にシングルカラートランスジェニックマウスの誕生を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で参加予定であった学会が中止もしくはオンラインでの実行となったため。また、動物を用いた実験を一時縮小したことも残額が生じた原因である。本年度も予測できない事態が起こる可能性はあるが、柔軟に実験や解析の内容で調整していく予定である。
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Research Products
(4 results)