2019 Fiscal Year Research-status Report
線虫を用いたJNK型MAPキナーゼによる精子形成・活性化機構の解析
Project/Area Number |
19K06448
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
西村 仁 摂南大学, 理工学部, 教授 (80241347)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 線虫 / JNK型MAPK / 精子形成・活性化 / spermiogenesis / 化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
線虫のspermiogenesis(精細胞から精子への形成や精子の活性化)は,in vitroで簡便に再現できる.線虫精細胞におけるspermiogenesisをin vitroで惹起する活性化因子(SAF)の一つとして,プロナーゼ(Pron)がよく知られているが,当研究室ではJNK阻害剤がPronによるspermiogenesisを著しく抑制することを見出した.精子の形成や活性化におけるJNK型MAPKの関与は殆ど知られていない為,本研究では線虫のspermiogenesisに関与しているJNK遺伝子およびその基質タンパク質の同定を行った.線虫ゲノムには,4種類のJNK遺伝子(jnk-1,kgb-1,kgb-2,C49C3.10)がコードされている.そこで,C49C3.10以外の各JNK遺伝子の単独変異体が産生する精細胞について,Pron,AEBSF(MAPKを活性化する化合物)およびDDI-4(当研究室で見出された化合物で,これまでに報告されていない新規経路を活性化する)による活性化を調べた.その結果,いずれのSAFでも精細胞におけるspermiogenesisは惹起されなかった.しかし,kgb-1 kgb-2の二重変異体について,AEBSFやDDI-4による活性化が約80%阻害された.さらに,既存の変異体が存在しないC49C3.10遺伝子について,CRSPR/Cas9法で欠失変異体を作製し,その精細胞を上述のSAFで活性化した所,Pronによる活性化が約25%阻害された.これらの結果より,(1)線虫のspermiogenesisを惹起する経路によって必要なJNK遺伝子が異なる,(2)DDI-4で活性化される経路にはkgb-1とkgb-2が必要である,(3)Pronによる活性化には機能が未知であるC49C3.10が関与している,ことが考えられた.特に,Pronによる活性化について,C49C3.10以外にもJNK遺伝子が関与している可能性が高いと思われた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線虫のspermiogenesisの惹起に関与している各経路において,複数のJNK遺伝子が関与していることや,未知であるC49C3.10遺伝子がPron経路に関与していることを示すデータが得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,多重変異体について調べることで,どのJNK遺伝子が関与しているかを明らかにできると思われる.最終的には,同定されたJNKによってリン酸化されるタンパク質を同定し,spermiogenesisが惹起されるメカニズムに迫りたい.
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