2020 Fiscal Year Research-status Report
牛白血病ウイルス感染阻害作用をもつ化合物を利用した新規ウイルス複製機構の解明
Project/Area Number |
19K06450
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
佐藤 洋隆 獨協医科大学, 医学部, 助教 (00708539)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 牛白血病ウイルス / 薬剤スクリーニング / ウイルス感染阻害剤 / LuSIA |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、平成29-30年度科研費若手(B)研究課題のスクリーニングによって独自に同定した牛白血病ウイルス(BLV)の複製阻害能を有する構造の異なる5種のシード化合物(化合物A~E)について、作用点およびその作用機序を明らかにすることにより、BLV感染に寄与する新規因子を同定することを目的としている。前年度までに、5種のシード化合物について類縁体の探索を行い、うち3つの化合物A、B、Cについて高活性かつ低毒性の化合物を選抜した。令和2年度はこれら化合物の作用機序について解析を行った。 まず感染開始からの薬剤添加開始時間を変えることで、ウイルスの細胞表面吸着から複製、ウイルス成熟までのウイルスの生活環のどのステップに薬剤が作用するかを調べたところ、化合物Bは感染早期、吸着または融合において感染を抑制していることが明らかになった。一方で化合物A、Cは、それ以降のステップに作用していることが示唆された。また、蛍光シンシチウム形成阻害において化合物Cはシンシチウム構造形成よりも、ウイルス転写因子Taxによる緑色蛍光タンパク質発現を強く抑制していることから、化合物Cは侵入後から遺伝子転写までのステップに作用していることが示唆された。それに対して化合物Aではこのような転写抑制は見られないことから、ウイルス複製のより後期に作用していることが示唆された。これらの結果から、得られた化合物がそれぞれ異なる機序でウイルス複製阻害作用を示していることが示された。現在はこれら化合物それぞれの標的分子特定に向けた解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高活性化合物を用いて作用機序について検討を進めているが、所属機関の変更と新型コロナウイルス感染症の影響が重なり、研究活動に遅れが生じている。当初予定では標的分子の同定までを終えることとなっていたが、現時点ではウイルス複製の作用ステップの作用点の特定まで進んでいる。今後、仮説に基づいた分子の細胞強制発現系で標的分子の同定を進めることで最終年度の計画通り、作用機序の解明まで進むと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は当初計画よりやや遅れているが、標的分子が特定でき次第、その機能解析を行う予定である。化合物ビーズによる標的分子の同定を計画していたが、リード化合物に紫外線照射による変性が見られたことから、仮説に基づいた分子の細胞強制発現系で同定を試みている。化合物Aについては他の2化合物と比べ阻害効果が弱く、作用点も定まっていないことから、標的分子の特定に時間を要すると推定される。そのため化合物B、Cを優先して研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の蔓延に伴い、学術集会が延期、中止となり本年度中に参加できなかったため。次年度に延期された学術集会参加費等に使用する予定である。化合物の標的分子特定方法が変更となり、研究に遅延が出ているため、次年度に同定に必要な試薬購入に当てる予定である。
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