2021 Fiscal Year Annual Research Report
精巣特異的ヒストンH3tが染色体高次構造に果たす役割の解明
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19K06452
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
上田 潤 旭川医科大学, 医学部, 准教授 (80450394)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヒストンバリアント / ヒストンコード / エピジェネティクス / クロマチン / 精子形成過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトを含む多くの真核生物は、配偶子を形成する過程で減数分裂を行い、遺伝的多様性を獲得する。過去の研究から、エピジェネティクス制御に関わる因子の多くが精子形成過程に重要な役割を果たし、ヒストンH3の修飾酵素の多くは、減数分裂の中期以降で重要な役割を担っていることがマウスを用いた逆遺伝学的解析から明らかとなっている。このような中、申請者らは精巣に特異的に発現するヒストンH3バリアントであるH3tが精子形成過程に必須であり、H3tを欠損すると無精子症になることを明らかにした(Ueda他, Cell Reports, 2017)。さらに、通常の精子形成過程ではH3.1/H3.2がH3tに置き換わっていることも明らかにした。本申請課題は、「H3tがどのようなメカニズムでゲノム中に取り込まれ、ゲノム中でどのような分子と相互作用することで染色体の機能を制御しているのか?」を明らかにすることを目的としている。 これまでの解析から、生体内でのH3tの機能解析を行う上で、H3tに対する特異的抗体では技術的に困難であることが明らかとなった(Cheng他, eLife, 2020)。そこで、2021年度は、「学術研究支援基盤形成・先端モデル動物支援プラットフォーム」に新規モデルマウスの開発を提案し、課題を採択していただいたので、モデルマウスの作製を行った。このマウスはH3t遺伝子座にタグの付いたH3tをノックインしたものであり、ウェスタンと免疫染色によって、精巣内でタグの付いたH3tが発現していることまで確認できている。今後は、このマウスを用いて、精巣を用いたH3tの生化学的解析行うことを計画している。また、2021年度は、不妊治療を行う胚培養士、産婦人科医らと、精子頭部をリアルタイムで計測しながら顕微授精を行うことの重要性を主張した英文総説を発表した(Itoi他, Zygote, 2021)。
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[Journal Article] Mutant GNAS limits tumor aggressiveness in established pancreatic cancer via antagonizing the KRAS-pathway2022
Author(s)
Kawabata H, Ono Y, Tamamura N, Oyama K, Ueda J, Sato H, Takahashi K, Taniue K, Okada T, Fujibayashi S, Hayashi A, Goto T, Enomoto K, Konishi H, Fujiya M, Miyakawa K, Tanino M, Nishikawa Y, Koga D, Watanabe T, Maeda C, Karasaki H, Liss AS, Mizukami Y, Okumura T
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Journal Title
Journal of Gastroenterology
Volume: 57
Pages: 208~220
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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